2022年下期は22%増益、DAS業務やエネルギービジネスが堅調

現地コード 銘柄名
00788

中国鉄塔

(チャイナ・タワー)

株価 情報種類

0.90HKD
(3/3現在)

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 中国の3大通信キャリアが出資する通信塔インフラ運営会社、中国鉄塔の2022年下期決算は、純利益が前年同期比22.2%増の46億元と、市場コンセンサス予想から上振れ、BOCIの予想を17.2%上回った。主に減価償却費の抑制とVAT(付加価値税)控除の効果が利益上振れの主因。BOCIはコロケーション(データセンター内でのサーバーやネットワーク機器など設置スペースのリース)業務の一段の料金値下げで、2023年には主力の通信事業者向け業務の売上高が鈍化すると予想しながらも、「屋内分散型アンテナシステム」(DAS:基地局の電波を光ケーブルで複数のアンテナに分配し、通信エリアを拡張するシステム)や、同社が「両翼」と位置付けるスマートタワー業務・エネルギー業務については利益率の安定推移を背景とした力強い成長を予想。目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 通信塔サービス部門の2022年下期の売上高は、前年同期比1%増の386億元。2022年通期の数字では、同社が運営する通信塔は210万棟で、テナントは336万2,000件。テナンシーレシオ(1棟当たり平均参画キャリア数)が前年の1.60から1.65に上昇し、コロケーション率の継続的な改善をうかがわせた。同社経営陣は新規のリース契約料の再値下げを理由に、2023年には通信事業者向け売り上げが縮小するとの見方。半面、利益率はほぼ前年並みで推移するとみている。

 一方、DAS業務の売上高は2022年下期に前年同期比36%増の31億元。同社がDAS区画の調整役として機能し、革新的なソリューションを強みに、主要施設・業種におけるDAS建設需要を取り込んでいることを示唆した。

「両翼」部門の収入は2022年通期に前年比45%増の89億元と、同社の売り上げ全体の9.7%を占めた。うち新エネルギービジネスの売上高は55%増の32億元を記録している。経営陣はこの先、業界大手との提携を通じた運転監視システムの一本化や資産の活用法の改善が、一段の成長に寄与するとみる。

 2023年の設備投資について、BOCIは前年比22%増の320億元を見込む。一部の旧式鉄塔に対する再投資や「スマートタワー」へのアップグレードが予想されるという。

 BOCIは2023年の利益見通しを3.1%引き下げ、2023年、2024年の予想売上高を5.7%、6.5%下方修正した。半面、減価償却費の低減を見込み、2024年の利益見通しを11%上方修正。設備投資の拡大を反映させる形で、DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づく目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。レーティング面の潜在リスク要因としては、5Gサービスに絡む新規の通信塔の稼働状況が予想を下回る可能性や、予想以上に高い通信塔の共有比率がタワー事業の収益に悪影響を及ぼす可能性を挙げている。