3月権利付き銘柄のお店で、優待名人・桐谷広人さんとかすみちゃんの飲み対談[後編]です。3月権利付き銘柄・コロワイド(7616)の、北の味紀行と地酒 北海道 新宿西口店の北海道グルメも続々登場してお酒も進んできたお二人。最近の優待の傾向について話が弾んでいます。要チェック!

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新設・廃止・商品変更…、最近の優待銘柄の傾向は?

かすみちゃん:私も桐谷さんのTwitter@yuutaihiroto)をチェックしてるんですけど、この間「 最近、優待廃止が多いのは、機関投資家の逆襲かなあ」って嘆いていたのが面白かったです(笑)。

桐谷さん:そうそう(笑)。優待って日本独特の制度で、株主還元の平等性を求める圧がすごくて、いい優待をやめちゃう企業が増えてますよね。あれって、優待を出すくらいだったら配当で還元してほしいっていうアメリカ人や機関投資家からの圧力かなぁって。

桐谷さんのTwitterは17万人以上のフォロワーがおり、影響力大! ただ、桐谷さんをかたるニセモノ(!)も登場しているとか。[@yuutaihiroto]以外は全てニセモノなので要注意。

かすみちゃん:でも昨年春くらいから、優待廃止はホント多いですよね。以前は業績悪化で優待を辞めるパターンが多かったんだけど、最近は、業績が悪化していないのに優待を辞めちゃう企業が多くてほんとに悲しいです。

桐谷さん:でも、かすみちゃんもTwitterで書いてたけど、ノエビアホールディングス(4928)  なんかは廃止の仕方にも情がありましたね。

かすみちゃん:そうそう。優待廃止発表=もう手が出せない、という状態ではなく、2023年2月の優待廃止発表で「2023年3月末実施分が最後」と、あと一回購入&優待ゲットができるように、名残を惜しむ猶予を設けてくれた。あれはうれしかったですよね。

桐谷さん:でも、優待で生活している私からするとね、1,000円相当分くらいの優待品がなくなって、100円くらい増配してもらっても、あんまりうれしくない(笑)。

かすみちゃん:私もうれしくないです(笑)。

桐谷さん:優待廃止をする企業が出るたびに、自分の「超・分散主義」は正しいなと改めて思います。棋士時代の知り合いが、ずっと以前に北海道拓殖銀行の株を大量に買って持っていたんだけど…。

かすみちゃん:うわー…。それはヤバイ…。

桐谷さん:はい。1997年に経営破綻して、株も紙切れになっちゃって、大損してしまいました。それを見ましてね、やっぱり長期分散投資は手堅いと再認識しました。銘柄をできるだけたくさん持って、分散しておけば、どこかの銘柄が優待を辞めたり、株価が下がったりしても、他の銘柄でカバーできるのがイイですね。 

鉄腕アトム「宇宙ヒョウの巻」。あらゆるエネルギーを吸収してしまう雪が降り、エネルギーが多かったアトムだけが動けていた。そのアトムの前に巨大宇宙生物が現れるが、そこに巨大ロボットが現れ、宇宙生物と戦い始める。この巨大ロボットは、小さいロボットがたくさん集まって形成された「群体」だった。いくつかのロボットがエネルギーを吸収されても、他のロボットのパワーは残るため、見事巨大生物に打ち勝ったのだった…、という話。

桐谷さん:例えば3月銘柄のテンアライド(8207)は、20年間、売らずに保有しています。テンアライドは「天狗」などで使える優待食事券が、年間2万円分もらえるんだけど、2万円✕20年だから約40万円分、外食費が浮いている計算になります。テンアライドはここ10年くらいずっと無配なんだけど、評価損くらいの食事代はもらえたから、それで納得できますね。

かすみちゃん:そこ、大事ですよね。株価が暴落したり、無配になったりしても、優待が送られてくると本当に慰められる。損切りするかどうか迷っていても、優待があったらそのうちまた上昇する期待も持てるので、「売らずに我慢」もできますよね。

 でも、私は最近、優待と同時に配当も意識して買うようになりました。優待品の価値だけじゃなくて、配当がちゃんとある会社の方が、優待が廃止されても株価が一定以下には落ちないので。だって本当に優待廃止が多いんだもん(泣)

増える新設優待、電子化も進む

桐谷さん:かすみちゃんは最近の新設優待でチェックしている期待銘柄は何ですか?

かすみちゃん:私は8,000円相当のヘアケア製品がもらえるAB&Company(9251)、極美味ビーフカレーがもらえて、予想配当金が高く値上がりが期待できるハリマ化成グループ(4410)などをチェックしてます。 

桐谷さん:ああ、私もAB&Company(9251)は買いました。あとは9月に優待新設を発表した太洋物産(9941)も買いました。太洋物産(9941)は業績が非常に低空飛行だった時に、QUOカード5,000円分がもらえるという優待新設を発表して、株価が急回復したんですよね。だけど優待頼みだとやっぱり心配で、優待投資家はちょっと様子を見守っていると思いますよ。

かすみちゃん:やっぱりお食事券とかQUOカードは強いですね。

桐谷さん:ハイ。QUOカードを優待品にしている銘柄は今600社くらいあるんだけれど、QUOカードが優待の銘柄は、長期保有優遇をつけてくれる企業が多いので、長く持つのに最適だと思いますね。

かすみちゃん:今、私の優待友達の間で軽くブームになっているのが、*プレミアム優待倶楽部  のWILLsCoinなんですよ。

*プレミアム優待倶楽部のWILLsCoinとは
 ウィルズが運営する、株主会員専用サイトのこと。自社製品やQUOカードなど、優待品を自社で用意するのではなく、プレミアム優待倶楽部を導入することで、株主優待制度を設定することができる。投資家は、株を保有する企業から、企業が定めたポイント数の優待ポイントをもらい、それをプレミアム優待倶楽部が用意した6,000点以上の優待品と交換できる、カタログ優待のような仕組み。WILLsCoinとは、1ポイント=1WILLsCoinでコインに変換できるが、複数の企業からもらう優待ポイントを合算できるため、高額な優待品をゲットしたい人に人気がある。

かすみちゃん:WILLsCoinに変換すると、コメダ珈琲やスターバックス、タリーズ、ドトールなどで使えるギフティカフェボックスに交換できるので、たいていのカフェで、現金ナシでお茶できちゃうんです。サンマルクホールディングス(3395)なんかは、優待で20%割引優待カードがもらえるんですが、割引きしてもらった後に、WILLsCoinで支払いもできるので、ダブルで使えてスゴイお得感があります。

かすみちゃんのブログやTwitterで「優待が使える店」を開拓している桐谷さん。お互いの発信は貴重な情報源。

かすみちゃん:でも桐谷さんは、利用期限のある優待券なんか、よく期限切れしちゃって使えなくなっちゃうでしょ(笑)。

桐谷さん:そんなこと、しょっちゅうですよ(笑)。最近は特に、優待も紙じゃなくて電子化が進んでいて、電子チケットで配布されたり、スマホに入れて使う形式の優待が増えてきて、管理がとても難しくてね(笑)。ほんとに間に合わないときは、使ってくれそうな人にプレゼントしたり、賞味期限が切れそうな食品の優待品なんかも段ボールごと人にあげたりしてます。

優待投資家の「あるある」の一つが「優待券の使用期限が切れた」「優待でもらった飲食品の賞味期限が切れた」問題。桐谷さんの家は、実際、段ボールが山積み(笑)

地元企業と組んだ「ふるさと納税」感覚の優待も

桐谷さん:もう一つ、最近の優待傾向としては、地方銀行が、優待品を地元の特産品に変えたりしているところが増えてきたように思います。商品を大量に買い上げてあげて地元企業の業績を助けたりしてるようですね。

かすみちゃん:え、それはいいですね。私は、金券も好きなんだけど、モノがもらえるのってやっぱりステキなんですよ。地元の特産品とかすごく欲しい!

桐谷さん:そうやって地元産業が活気付くと雇用も生まれますし、地銀にもいいことがあるからだと思いますよ。優待投資家も、地元産業で応援したい企業や、出身地の企業の優待銘柄を買って応援するのもいいかもしれないですね。

かすみちゃん:それってもう、ふるさと納税に近い感覚ですよね。

桐谷さん:そうですね。ITバブル崩壊とか、リーマンショックのおかげで、株価がぐんと下がって個人投資家が減っちゃったため、優待をつけて個人投資家を集める企業が増えたので、いい優待銘柄が増えたという点もあるんですよ。応援したい企業の銘柄を買う、というのはアリだと思います。

 明治時代に、山陽鉄道の運輸課長の「西野恵之助」という方がいました。この方が、山陽鉄道を西へ西へと伸ばすために、優待制度をつけてお金を集めることに成功したんです。この方は後に実業家になり、白木屋呉服店に5%割引で購入できる優待制度をつけるなどして、優待を駆使して企業の業績改革をしてきた人なんです。

かすみちゃん:ずいぶん昔から優待活用が上手な企業があったんですね。 

桐谷さん:そうなんです。最近だと、カゴメ(2811)なんかもそうです。2001年から優待制度を開始して、6,500人くらいだった株主を約30倍の約20万人まで増やすことに成功したんですよ。

かすみちゃん:カゴメの優待は、自社製品詰め合わせですよね。ライオン(4912)もそうだけど、自社の商品が送られてくると新商品のPRなんかにもなりそうですよね。使ってみてファンになって、いい会社だなと思ったら、株を買い足して「推す」。これって、まさに「推し活」感覚です。

桐谷さん:そうですよね。今、コロワイド(7616)の、北海道味紀行で飲んでるわけですけど、居酒屋さんでビールの銘柄を選べる場合、自分が株主の銘柄を選ぶでしょ。私は全部の銘柄を持っているからどこでも選べるんだけど(笑)。それと同じで、スーパーで洗剤を買うときも、いろんなメーカーの洗剤が並んでたら、つい自分が株を持ってる会社の商品を選びますよね。

かすみちゃん:応援したい企業の株主になると、消費者としても企業を応援します。それって本当に投資の本質な気がしますね。

投資で企業を応援すると同時に、消費者としても応援したくなるのが優待投資のいいところ。企業と投資家の距離がぐんと縮まる。

かすみちゃん:私が株主優待をぜひ勧めたいのは奥さま層なんです。皆さん、コロナで在宅率も上がって息抜きもできないし、旦那さんがリモートになって家にいるからお昼ご飯も作らなきゃならなくて、家事の大変度が上がった人が多いと思うんです。外食系の優待券があれば、「優待の期限が切れそうだから行こうよ」って、気軽に外食に行ける。そうしたら、食事の用意はもちろん、その後の洗い物とかしなくていいんですよ! 働く女性や育児中のママに、ぜひ優待でお食事券や割引券をゲットしてもらって、罪悪感なしに楽をしてほしいと思います。

桐谷さん:あと、ちょっとイレギュラーな活用法なんですけど、東映(9605)は優待で映画観賞券がもらえるんで、女性を映画に誘うときに「映画好きですか? 優待でもらった映画観賞券があって、使用期限が切れそうなんだけど、一緒に行きませんか」って誘いました。

かすみちゃん:誘われた女の子側も「優待券を使いたいから」って言われると、重すぎなくていいです(笑)。

桐谷さん:東宝(9602)も映画招待券がもらえる優待ですよね。株主優待は、いろんな活用方法があるっていうことです。ぜひ皆さんに楽しんで挑戦してもらいたいですね。

企画/編集/執筆 安田由紀子

登場した銘柄一覧はこちら! *50音順

AB&Company(9251)
あさひ(3333)
イオン(8267)
エー・ピーHD(3175)
カゴメ(2811)
コロワイド(7616)
サンマルクHD(3395)
すかいらーくHD(3197)
正興電機製作所(6653) 
太洋物産(9941)
テンアライド(8207)
東映(9605)
東宝(9602)
日本マクドナルドHD(2702)
ノエビアHD(4928:優待はすでに廃止しています) 
プレミアム優待倶楽部
吉野家HD(9861)
ライオン(4912)

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