コロナ禍で2022年の業績悪化も新規契約は堅調、自立成長を持続へ
現地コード | 銘柄名 |
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03319 |
雅生活智慧城市服務 (エー・リビング・スマートシティー・サービシズ) |
株価 | 情報種類 |
9.00HKD |
株価 企業情報 チャート |
中国では2022年10-12月の新型コロナウイルスの感染拡大が不動産デベロッパー、不動産管理サービス会社の双方に予想以上の打撃を及ぼした。雅生活智慧城市服務の親会社であるデベロッパー、雅居楽集団(03383)の物件成約額は10月に前年同月比60%近く減少した後、11月、12月には同70%以上の激減に見舞われた。BOCIは雅居楽集団の苦境を考慮し、親会社から得られる雅生活智慧城市服務の収入見通し(拡張付加価値サービス業務:現場の販売センター管理や不動産仲介サービスなど)を18億6,000万元へ、14.5%下方修正。新型コロナに起因する混乱を理由に、コミュニティー向け付加価値サービス業務の売上高も3%減額修正し、24億元とした。また、拡張付加価値サービス業務の比重の低下を反映させる形で、2022年通期の予想粗利益率を25.7%から24.8%に下方修正。さらに、資金難に見舞われた親会社向けの売掛金減損の可能性を織り込み、営業費用見通しを17%引き上げて11億9,000万元に設定した。こうした要因を反映させた上で、予想EPS(1株当たり利益)を13.3%減額修正、目標株価を引き下げた。ただ、同社の自立成長力や、親会社に対する依存度の低減(2021年の20.3%から2022年には11.4%に低下へ)、コロナ関連のマイナス要因が一過性であることなどを考慮。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。
経営陣が11月に示した情報では、雅生活智慧城市服務はコロナ禍にあっても、新たに延床面積7,000万平方メートル分の管理サービス契約を獲得した。これは2021年末の総管理面積(4億8,890万平米)の14.3%に相当する規模。さらに新規取得分の大半は親会社ではなく、第三者との契約であり、自立成長力をうかがわせている。同社が特に強みを持つのは公共施設分野であり、7-9月の新規契約分の6割が非住宅物件の管理。非住宅向けの平均管理料金は1平方メートル当たり月額2元を上回る水準を維持した。
一方、コロナ禍での混乱は10-12月期の売掛金の回収に影響した可能性が高い。2022年上期に営業キャッシュフローが14億元の流出超過に転じた後、経営陣は11月時点で、下期に入ってからプラスに戻ったと語っていたが、BOCIは10-12月には再度、状況が悪化したと予想。2022年通期では小幅の流出超過を見込む。また、上期の2億5,000万元に続き、下期も1億7,200万元の売掛金減損損失が発生するとみている。
BOCIは2022年のキャッシュフローおよび業績の低迷を見込み、目標株価の算出ベースを2023年予想PER(株価収益率)7倍から6.5倍に下方修正。これに伴い目標株価を引き下げた。現在株価は同予想PERで4.0倍と、ほぼゼロ成長に相当する数字。実際には自立成長を維持するとみて、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。レーティング面の潜在リスク要因としては、営業キャッシュフローの低迷が2023年も続く可能性を挙げている。