2022年業績予想を下方修正、積極的な設備増強で細胞遺伝子治療ビジネス拡大へ

現地コード 銘柄名
01548

金斯瑞生物科技

(ジェンスクリプト・バイオテック)

株価 情報種類

25.75HKD
(2/10現在)

 株価
 企業情報
 チャート

 BOCIは医薬品の研究開発支援サービス会社、金斯瑞生物科技の2022-24年の予想売上高を7億1,200万米ドル、10億5,800万米ドル、16億2,200万米ドルに下方修正した(修正前7億1,900万、11億1,400万、17億8,500万米ドル)。◇生産面の制約とレンチウイルスの供給ひっ迫で、子会社の傳奇生物科技の主力製品「シルタセル」(BCMA標的のCar-T細胞製品)の2022年10-12月期の売上高は前期比横ばい、◇経営陣が生産増強の遅れを理由に傘下のProbioの2022-25年の予想増収率を年平均60%から50%に下方修正した――ことが背景。調整後純損失は2022年に2億3,300万米ドル(前年比2,100万米ドル増)に拡大した後、2023年に1億7,100万米ドルに縮小すると予想。研究開発費のピークの2024年以降に黒字化するとの見通しを維持した。SOTP(サムオブザパーツ)方式に基づく目標株価を引き下げながらも、生産能力の拡大に伴う細胞遺伝子治療(CGT)ビジネスの成長を予想。株価の先行きに強気見通しを継続した。

 傘下のLegend Bioは米国、ベルギー、中国に細胞治療の拠点を置く。米ニュージャージー州では設備投資を2億米ドルから5億米ドルに積み増し、2023年には生産能力を倍増させる計画。2024年には1万人強の患者に対応できる体制を整える。さらに2023年中には、Car-T細胞療法の認定臨床施設を40から70-80に増やす計画という。ベルギーでは二つの施設を建設中で、2024年には患者5,000人超に対応可能な業務能力を整備する。中国では第1号のGMP(医薬品適正製造基準)施設がシルタセル生産に向けた準備を完了。国家薬品監督管理局・医薬品審査センター(CDE)がすでに新薬承認申請を受理しており、2023年中に承認される見込みという。一方、レンチウイルスの供給不足に関して、経営陣は2023年下期には解消する見通しを示している。

 Probioは2021年の資金調達Aラウンドで1億5,000万米ドルを調達。江蘇省鎮江市政府が出資した2022年上期のBラウンドを経て、2023年1月のCラウンドでは2億2,400万米ドルを新たに調達した。金斯瑞生物科技はこのCラウンドに直接参加。これまでの間接保有分と合わせた出資比率は70.32%(80.34%から低下)となった。バイオCDMO(医薬品製造開発受託)業務においては、江蘇省の南京、鎮江のGMP施設が2023-24年に稼働する予定。細胞遺伝子治療のCDMO業務では、2023-24年に研究開発ラボ、プラスミドcGMP(現行医薬品適正製造基準)施設、ウイルスcGMP施設、mRNAのcGMP施設が相次ぎ稼働する運びとなる。ニュージャージー州でも2024年から順次、プラスミドおよびウイルスcGMP施設が稼働する予定という。

 BOCIは目標株価を引き下げながらも株価の先行きに対して強気見通しを継続した。レーティング面の潜在リスク要因としては、生産能力の活用が予想外に遅れる可能性、バイオテック部門の資金調達環境が冷え込む可能性を挙げている。