2022年下期に販売不振も2023年に回復へ、中国経済の正常化が追い風
現地コード | 銘柄名 |
---|---|
01882 |
海天国際 (ハイティエン・インターナショナル) |
株価 | 情報種類 |
23.90HKD |
株価 企業情報 チャート |
中国の射出成形機メーカー大手、海天国際の2022年下期決算は、BOCIの予想を小幅に下回る可能性が高まっている。売上高の縮小と原材料コストの高騰が背景。ただ、マーケットは今後の収益見通しに目を向けており、BOCIは過去の数字にほとんどインパクトはないとの見方。今後はマクロ経済の持ち直しが産業および消費者主導のバリューチェーンの需要回復を後押しするとみる。2022年には電気自動車(EV)を含む自動車産業における需要が同社製品の売り上げを下支えしたが、2023年には家電や消費財などの川下セクターにおける需要の回復や、下期に期待される世界経済の復調が追い風になると予想。マーケットは中国経済の全面的な回復を見込んでいるとした。同社の2022年下期の利益見通しを小幅に減額修正しながらも、2023-24年の利益見通しを維持。目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。
2022年下期には国内外の需要減速を受け、景気循環型の産業用機械の売り上げが低迷。多くが前年同期比30%前後の落ち込みに見舞われた。ただ、プラスチック射出成形機(PIMM)は相対的に堅調。輸出額から推計すると、下期も上期とほぼ同様に、同17%程度の減収に踏みとどまった可能性が高い。EV業界が寄与したためで、EVに占めるプラスチック部品の増加が需要を下支えした。海外需要は米利上げに伴うドル高を受け、やはり下期に低迷した。
2022年下期にはまた、原材料コストの高騰が利幅を圧迫したとみられ、粗利益率、純利益率ともに前年同期を下回る見通しだが、上期比ではほぼ横ばいに推移する可能性がある。続く2023年には原材料価格の反落と売り上げの回復で、利益率は改善する見込み。海外事業と輸出の比重が高い同社(2021年に約30%)にとっては為替相場の急変動による影響も大きく、仮に急速に元安が進めば、海外事業(主に米ドル建て)の価値を損なう可能性がある。
今後に目を向けると、製造チェーンにおける需要の先行きは明るく、産業、消費者向け製品の販売回復がそろって、プラスチック射出成型機の需要増を後押しする可能性が高い。同社は新規受注見通しを公表していないが、BOCIは2023年の売上高について、前年比6%増を予想。同10-15%増を達成する可能性もあるとみている。
BOCIは2022年下期の利益見通しを小幅に引き下げながらも、2023-24年の予想値を据え置いた。さらに目標株価の算出基準を2022年予想PER(株価収益率)13倍から、2023年予想PER14倍にシフト。ポジティブな利益見通しに言及し、目標株価を引き上げた。
一方、レーティング面の潜在リスク要因として、不動産市況に左右される中国マクロ経済の回復の度合いと雇用情勢を挙げ、ある程度の不確実性が存在するとしている。