米国事業は2022年10-12月期に苦戦か、2023年の中国事業を楽観

現地コード 銘柄名
00288

万洲国際

(WHグループ)

株価 情報種類

4.82HKD
(2/1現在)

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 豚肉生産の世界最大手、万洲国際の2022年10-12月期決算について、BOCIは同業他社の例を参考に、米国事業が予想以上に苦戦した可能性を指摘している。ただ、子会社売却益4億6,700万米ドル(税引き前)の計上が打撃をある程度緩和するとみる。一方の中国事業に関しては、新型コロナ問題による影響は限定的とし、豚肉業況サイクルに乗じたビジネス機会の収益化で、そう悪くない業績を達成するとの見方。現在株価の低バリュエーションを指摘した上で、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 ブラジルの食肉加工企業ジェイ・ビー・エス(JBSS3)や米タイソン・フーズ(TSN US)などの同業他社を見る限り、米国事業は2022年10-12月期に、予想外に強い逆風に直面したとみられる。高インフレが高級品需要を直撃しただけでなく、養豚および食肉処理部門などのコスト増要因となったもよう。ほかに、前年同期実績が例外的に高かったことも響く見込み。2022年12月の悪天候も、利益率やEBIT(利払い・税引き前利益)の点で、さらなる打撃となる可能性があるという。

 中国事業はゼロコロナ政策下でのロックダウンが需要に影響したとみられるが、備蓄していた輸入豚肉の活用により、悪影響を軽減したもよう。豚肉価格が上昇した10-11月に、同社は低価格な輸入製品を販売することができた。12月以降には豚肉価格は下落したが、BOCIは影響が軽微との見方。2023年には強力な価格決定力と売上原価の抑制で、粗利益率の上昇が期待できるとみている。

 一方、2022年10-12月には一過性の売却益の計上が利益を下支えする見込み。米国のスパイス・調味料子会社、Saratoga Food Specialtiesを5億5,880万米ドルで売却したことで、税引き前で4億6,700万米ドルの売却益を計上する見通しとなった。BOCIの推計では、売却益は実質約3億米ドルと2022年の予想純利益の21%に当たるという。こうした項目を除いた2023年のコア営業利益について、BOCIは前年比15%増の20億米ドルを見込み(最終利益予想は前年比11%減)、悪くない数字と受け止めている。より長期の視点では、2021-24年の利益成長率を年平均9%と予想している。

 BOCIは米国事業の業績悪化見通しや売却益にかかる予想税額の引き上げを反映させる形で、2022年の予想EPS(1株当たり利益)を7%減額修正した。ただ、2023年に関しては、ゼロコロナ廃止を理由に中国事業に対してより楽観見通しに転じ、予想EPSを増額修正。引き続き2023年予想PER(株価収益率)8倍をあてはめて目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを据え置いた。

 レーティング面の潜在リスク要因としては、中国の生体豚価格の上昇ペースが予想を上回る可能性や、飼料コストの急騰、パック肉製品に対する消費需要の下押しなどの可能性を挙げている。