執行役員の職責変更、グローバル化戦略や経営効率面でポジティブ

現地コード 銘柄名
02020

安踏体育用品

(アンタ・スポーツ・プロダクツ)

株価 情報種類

116.70HKD
(1/19現在)

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 中国のスポーツ用品大手、安踏体育用品は18日、2月1日付で執行役員を一部入れ替え、役割分担を調整すると発表した。取締役会の構成は変更せず、現会長(董事会主席)が引き続き、指導的役割を担う。BOCIはこの変更がグローバル化戦略のより高いレベルでの履行や、経営効率の向上、人材育成の強化につながると前向きに評価。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 今回の発表によると、丁世忠氏(Ding Shizhong)はグループの最高経営責任者(CEO)を退くものの、会長職に留任。引き続き、企業戦略、企業文化、人材育成、業務監督、M&A(買収や合併)などを統括する経営チームの核心的役割を担う。一方、同氏の兄であり、頼世賢氏(Lai Shixian)の義兄に当たる丁世家氏(Ding Shijia)はサプライチェーンの監督役から外れ、引き続き製造部門の監督を担当する。

 一方、丁世忠氏に代わってグループの新CEOに任命されたのは、現CFO(最高財務責任者)の頼世賢氏と、パフォーマンススポーツ(競技スポーツ)部門担当の現CEOである呉永華氏(Wu Yonghua)。両氏は共同CEOとして、それぞれ、「安踏(ANTA)」ブランド、「FILA」ブランドを担当する。頼世賢氏は併せて、その他の新興ブランドと、グループ機能(人事、法務、IR、事務管理など)も担う。また、鄭捷氏(Zheng Jie)はアメアスポーツのCEOにとどまる半面、アウトドアスポーツ部門の総裁兼CEOから外れる運び。頼氏の後任となるグループの新CFOには、スポーツアパレル業界で20年の経験を持つ畢明偉氏(Bi Mingwei)が指名された。

 BOCIはこうした経営体制の刷新が規模とタイミングの両面から、市場にとってサプライズとなった可能性を指摘しながらも、新たな経営陣の役割分担をポジティブに受け止めている。グローバル化戦略の履行や経営効率の改善、人材育成において、プラスとなる見通しという。

 BOCIは2022-24年の予想純利益を据え置き、2023年予想PER(株価収益率)32倍を適用した目標株価を維持。株価の先行きに対して強気見通しを継続した。

 一方、レーティング引き下げにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、旗艦ブランド「安踏」のDTC(消費者への直接販売)改革が失敗する可能性や、「FILA」の業績悪化の可能性、新規事業の進展が遅れる可能性、さらにマクロ経済と消費者信頼感の低迷により、コロナ後の回復が予想以上に鈍くなる可能性を挙げている。