ハイエンドスマホ市場の復調に期待、EV開発事業の進展も支援材料に

現地コード 銘柄名
01810

小米集団

(シャオミ)

株価 情報種類

11.90HKD
(1/19現在)

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 台湾TSMCの4nm(ナノメートル)ラインで製造された「Snapdragon 8 Gen 2」がアップルA16との性能差を詰める中、BOCIは消費マインドの回復を背景に2023年にはハイエンドのアンドロイドスマートフォンの潜在需要が喚起されるとみている。中国のスマホ大手、小米集団の新機種「Mi-13」は、3週連続でプレミアム・アンドロイドカテゴリーの販売トップ。2023年には在庫レベルの健全化やチップ価格の低下、EV(電気自動車)の発表、中国のゼロコロナ政策の終了、米ドル高局面の収束などもプラス材料になる見通しという。BOCIは2023年の予想EPS(1株当たり利益)を4%増額修正した上で、同年予想PER(株価収益率)27倍を当てはめて目標株価を引き上げ、株価の先行きに強気見通しを継続した。同社を2023年上期のハードウエア部門のトップピック銘柄としている。

 BOCIはSoC(システム・オン・チップ)の性能の向上が、アンドロイドのハイエンド機種の需要回復を後押しするとみている。直近の消費者レポートによれば、米クアルコムの最新チップセット「Snapdragon 8 Gen 2」を搭載する小米集団の「Mi-13」「Mi-13 Pro」「K60 Pro」やvivo 「X90 Pro+」「iQOO 11」「OnePlus 11」などの機種は、GPUやCPUのパワーと効率の両面で大幅に性能が向上した。

 また、チップ、カメラ、MIUI(小米集団が開発したAndroid UI)の性能向上と在庫水準の低下、中国のゼロコロナ解除などを理由に、BOCIは同社のスマホ出荷が2023年4-6月期にも、まずは中国国内で持ち直し、次に海外で復調するとみる。平均販売価格の上昇も、増収を支える見込み。さらに米ドル安も、チップ調達コストの低減につながる点で、2023年の粗利益率の改善を後押しする見通しという。

 投資家の一部が懸念するのは米国の制裁でスマホ市場からほぼ消えたファーウェイが2023年末までに自社開発の5G SoCを引っさげて復帰するとのうわさ。ただ、BOCIはこの5G SoCが28nmのようなレガシーノードであれば脅威になり得ないとし、逆に小米集団株の買いの好機につながるとの見方。アップルを筆頭に、小米集団、OPPO、vivo、オナーが並ぶ中国のハイエンドスマホ市場の勢力図に変化はないとみている。

 一方、小米集団のEVのプロトタイプは現在、冬季のテスト中。EV開発の全体的な進捗(しんちょく)状況は予定より早く、2023年にはEV事業の潜在価値に投資家の目が向く見通しという。同社株の現在のPERは21倍と、過去3年平均の27倍を下回る水準。BOCIはEV事業に対する評価がまだ完全には反映されていない可能性を指摘している。

 BOCIは2022年10-12月期の予想EPSを6%減額する半面、2023年、2024年通期の予想EPSを4%、5%増額修正。同社の株価の先行きに対して強気見通しを継続した。レーティング面のリスク要因としては、国内市場の競争や世界の地政学的対立、課税をめぐるインド当局との対立を挙げている。