コロナ禍で苦戦も2023年3月以降に業績回復見通し

現地コード 銘柄名
06110

滔搏国際控股

(トップスポーツ・インターナショナル)

株価 情報種類

6.00HKD
(12/23現在)

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 ナイキやアディダスなどの有力ブランドを扱う中国のスポーツウエア販売最大手、滔搏国際の2023年度第3四半期(2022年9-11月)の売上高は前年同期比10%台後半の落ち込みを示し、前四半期の1桁台前半の減収から一段と悪化した。9月末以降、各地で新型コロナ感染が急拡大したことが背景。BOCIは続く会計年度の第4四半期も苦戦が続くとみて、2024年度(2023年3月-2024年2月)に入ってからの売上高、利益率の回復を見込む。また、業績回復期を迎えたタイミングで、同社がデジタルシステムの強化や店舗構成の適正化、効果的なコスト管理を通じて小売業務の効率化を進めると予想。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 同社によれば、9-10月の減収率は前年同期比10%台前半から半ば程度だったが、11月に入って下げ幅が拡大した。11月の新型コロナ感染のピーク期には店舗全体の20%が営業停止を余儀なくされ、この数は9月をさらに上回った。その結果、9-11月期の小売店舗の来客数は20%台前半の幅で減少。半面、ネット通販売り上げは20-30%増加し、直営販路に占めるネット通販の割合は20%台後半に上昇した(2023年度上期は20%台半ば、2022年度は20%)。BOCIはウィズコロナへの移行に伴う感染急増を受け、続く第4四半期も売れ行きの低迷が続くとの見方。経営陣によれば、実際、12月に入ってからも実店舗の来客数が持ち直す兆しは見られないという。ただ、コロナ対策の大幅緩和を理由に、経営陣は2024年度の売り上げを楽観視している。

 コロナ感染状況が悪化したにもかかわらず、小売レベルの値下げ率は年度第3四半期も1桁台前半と、年度上期並みを維持した。BOCIはブランドパートナー側によるサポート(在庫買い取りや補助金、売掛金支払い期限の延長など)が、プロモーション値引きの拡大による悪影響を一部相殺した可能性を指摘している。一方、ブランド側が示唆する在庫水準の正常化や在庫構成の改善(新製品の比重拡大)で、年度第4四半期以降は小売価格の値引き率が縮小するとの見方。また、同社はこの先、店舗構成の適正化を継続的に進めることで、店舗生産性と営業利益率の改善を図るとみている。直営店舗の売り場面積は11月末時点で、前四半期比1.3%縮小。前年同期比では5.7%縮小した。

 BOCIはコロナ禍での2023年度の販売低迷と、パンデミック後に予想されるブランド側の支援の抑制を受けた利益率の低下見通しを反映させる形で、2023-25年度の予想純利益を7%、8%、8%減額修正した。2024年度予想PER(株価収益率)18倍をベースに、目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、ウィズコロナを取り巻く不安定感、ブランド各社の中国での直販(DTC)強化による共食い、店舗生産性の悪化、大株主による持ち株売却、政治的緊張などの可能性を挙げている。