10-12月期以降に利益率改善へ、製品開発力とビジネスモデルに高評価

現地コード 銘柄名
02015

理想汽車

(リー・オート)

株価 情報種類

94.00HKD
(12/12現在)

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 中国の新興EV(電気自動車)メーカー、理想汽車の2022年7-9月期決算は、売上高が前四半期比7.0%の伸びを示す半面、営業損失は21億元へ同2倍以上に膨らんだ。旧型モデル「理想ONE」(11月に生産停止)の主要部品に絡む引当金や経費の増大が響いた。ただ、一過性損益を除くと、7-9月の自動車製造事業の利益率は20%強と底堅く、8月後半に生産を開始したばかりの新型モデル「理想L9」の高採算性を示唆している。また、「理想ONE」関連の在庫評価損は今後数四半期にわたって大きく縮小するとみられ、経営陣によれば、粗利益率は10-12月期に20%前後に正常化した後、2023年にはさらに上向く見込み。BOCIは同業他社を上回る際立った製品開発力と、研究開発投資や健全な粗利益率の維持に照準を合わせたビジネスモデルを前向きに評価。同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 7-9月期には販売台数が前四半期比7.5%減少する中、「理想ONE」より10万元以上高額な「L9」の投入で平均販売価格が上昇し(前四半期比約4万5,000元増の34万1,000元)、結果的に増収を確保した。粗利益率は予想通り大きく悪化したが、「ONE」絡みの一過性要因を除けば堅調。部品関連の在庫引当金や購入契約損失など計8億300万元を除いたコア利益率は20.8%に達した。

 経営陣によれば、10-12月の納車台数は4万5,000-4万8,000台に上る見込み。新型コロナウイルス感染の拡大が打撃となる中、同業他社を上回ったとみられ、この傾向は2023年も続く可能性が高い。経営陣は決算説明会で、「L9」「L8」の月間販売台数が今後、8,000-1万1,000台、1万-1万4,000台で安定する見通しを示したが、これは市場の予想を上回る数字。BOCIは2022年の販売台数見通しを14万台から13万7,000台へ小幅に下方修正する半面、2023年に関しては31万台との予測を据え置いている。

 一方、同社は12月9日、一部経営陣の交代を発表した。9月に持ち株売却に動いた沈亜楠氏が社長・取締役職を辞任し、馬東輝氏が後任に決まった。ほかに、有力テック企業ファーウェイの「ハーモニーOS」を手掛けた経歴を持つ謝炎氏がCTO(最高技術責任者)に就任し、車両OSの開発を担う運びとなった。

 BOCIは2023-24年に31万台、58万台の販売を見込み、予想売上高を1,104億元、1,905億元にほぼ据え置いた。経営陣もLシリーズの3種けん引で、2023年には確実に1,000億元の大台に乗るとみる。BOCIは半面、2022年の予想純利益(非GAAP)を1億3,000万元に下方修正。2023-24年に関しても多額の研究開発費の計上を理由に71億元、143億元へ8-10%減額したが、2023年以降には利益率の改善に伴う持続的な利益成長が期待できるとの見方。2023年予想PSR(株価売上倍率)3.8倍をベースに目標株価を設定し、株価の先行きに対する強気見通しを継続している。