会長の一部持ち株売却による影響は一時的、レストラン売り上げの回復に期待

現地コード 銘柄名
09922

九毛九国際

(ジュウマオジュウ・インターナショナル)

株価 情報種類

20.50HKD
(12/12現在)

 株価
 企業情報
 チャート

 中国のレストランチェーン、九毛九国際の会長による持ち株売却の動きについて、BOCIは同社株価への影響は一時的であるとし、ファンダメンタルズへの影響も限定的と受け止めている。それより、2023年の各店舗の営業再開や段階的なレストラン売り上げの回復による恩恵を指摘。強力なバックエンドインフラの存在や効率的なコスト管理、着実な店舗網の拡大を理由に、主力の四川料理チェーン「太二」の業績に対して楽観見通しを示した。また、向こう数年間の火鍋チェーン「慫重慶火鍋廠」(Song Hot-Pot Factory)」の出店加速に象徴されるマルチブランド戦略の力強い履行に対しても期待感を示し、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 同社は8日の大引け後、管毅宏(Guan Yihong)CEO兼会長が手持ちの株式4,800万株(発行済み株式総数の3.3%)を総額8億8,800万HKドルで売却したと発表した。1株当たりの平均売却価格は18.5HKドルと、8日終値の20.5HKドルに対して10%のディスカウント水準。これで、管氏の残りの持ち株は5億4,294万株(37.34%)となるが、この分には12カ月のロックアップ期間が設定されるという。BOCIは今回の持ち株売却の理由は菅氏の個人的な経済的利益にあるとみて、同社のファンダメンタルズに及ぼす影響は限られるとしている。

 主力チェーンの「太二」と「九毛九」(西北料理チェーン)の既存店売り上げは2022年11月にそれぞれ前年同月比20%強、30%強の落ち込みを示した。新型コロナウイルスの感染拡大が背景。一時は「太二」の約60店舗、「九毛九」の79店舗が店内飲食停止となり、出前限定の営業を余儀なくされた。ただ、12月に入ってからは各地でコロナ関連規制の緩和が進んでおり、BOCIは一段の緩和に伴うレストラン売り上げの回復を見込む。さらに、営業効率の改善に向けたバックエンドインフラの一段の強化が、「太二」「九毛九」の着実な店舗網の拡大を支えるとの見方。中国経済の減速と消費意欲の萎縮を理由に、短期的な利益率の低下を予想しながらも、長期的には持ち直すとみている。

 BOCIは2022-24年の予想純利益を据え置き、2023年予想EV/EBITDA倍率18倍をベースとする目標株価を据え置いた(EV/EBITDA倍率はEV=企業価値がEBITDA=利払い・税引き・償却前利益の何倍に当たるかを表す指標)。この目標株価は、2023年、2024年の予想PER(株価収益率)では、66.5倍、35.6倍に当たる水準となる。

 一方、レーティングの引き下げにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、新型コロナ感染による影響の長期化、景気減速と競争激化、食の安全問題、商品・賃金インフレの加速、マルチブランド戦略の予想外の遅れなどの可能性を挙げている。