AK112の開発・販売権付与で米サミットと合意、海外市場開拓なるか
現地コード | 銘柄名 |
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09926 |
康方生物科技 (アケソー) |
株価 | 情報種類 |
37.00HKD |
株価 企業情報 チャート |
広東省本社のバイオ医薬品開発会社、康方生物科技は12月6日、米国、カナダ、欧州、日本における「AK112」(PD-1/VEGF 二重特異性抗体)の開発および商用化に向けた独占ライセンスを付与することで、米サミット・セラピューティクス(ナスダックSMMT)と合意したと発表した。アップフロントフィー(契約時一時金)は5億米ドル、マイルストーン[開発の進捗(しんちょく)状況に応じた支払金]は最大45億米ドルとの合意内容。BOCIは2023年に5億米ドルの契約時の一時金、2024-32年に計5億米ドルのマイルストーンを計上すると想定した上で、康方生物科技の12カ月目標株価を上方修正。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。
康方生物科技はAK112製品の正味販売収入に対し、2桁台前半のパーセンテージに相当する対価を受け取る運びとなる。さらに、康方生物科技の会長である夏瑜(Xia Yu)博士はサミット社の取締役に就任する。今回の契約の金額規模は中国のバイオテクノロジー業界の導出(開発権・販売権の供与)で史上最大であり、契約一時金の5億米ドルという数字は百済神州(06160)によるノバルティスへのPD-1阻害薬の導出に次ぐ2番目の規模。BOCIはこの契約額がAK112のポテンシャルを反映しているとし、5億米ドルの受け取りによる手元現金の上乗せ効果を指摘している。康方生物科技はまた、この日、上海のハイテク新興企業向け市場、「科創板」に重複上場する計画を発表した。
今回の合意について、市場が最も懸念しているのは、サミット社側の財務状況。サミット社はナスダック上場の前臨床ステージのバイオテック企業であり、12月6日現在の時価総額は約4億5,000万米ドル。7-9月期の現金保有高は約1億2,000万米ドル。今回のプロジェクトを前に、同社は現在の大株主2人に対する5億米ドルの割当増資と、それまでのつなぎ融資としての約束手形5億2,000万米ドルの発行を行う予定。康方生物科技の経営陣によると、契約一時金5億米ドルは15日以内にエスクロー口座に振り込まれ、ハート・スコット・ロディノ反トラスト改正法に基づく承認が下り次第、実際に受け取る運び。支払い完了後、AK112の臨床開発に向けたサミット社側の保有現金は1億5,000万米ドル程度にとどまることになる。まずは非小細胞肺がん(NSCLC)を適応症とした開発を行う予定で、2023年4-6月中にも、臨床研究における治療を開始する計画という。
BOCIはサミット側に追加の資金調達の必要が生じるとみて、計画の不透明感を指摘。現時点ではマイルストーンのうち、5億米ドル(2024-32年)分だけを反映させる形で、DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づく康方生物科技の目標株価を引き上げた。一方、レーティング面の潜在リスク要因として、承認申請に失敗する可能性、新薬販売が予想を下回る可能性、大規模治験に失敗する可能性などを挙げている。