11-12月に2度の増資、EPS希薄化もキャッシュフロー改善へ

現地コード 銘柄名
02007

碧桂園控股

(カントリー・ガーデン)

株価 情報種類

2.68HKD
(12/8現在)

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 大手不動産デベロッパー、碧桂園は12月7日、11月以降2度目となる第三者割当増資を発表した。1株当たり2.70HKドル(前日終値比14.83%のディスカウント水準)で、増資前発行済み株数の約6.88%に当たる新株17億8,000万株を発行し、グロスで48億600万HKドル、正味で47億4,110万HKドルを調達する。BOCIの計算では、この12月の増資により、2022-24年のコアEPS(1株当たり利益)は0.4%、6.6%、6.6%希薄化。BOCIが設定した予想NAV(純資産価値)は4.1%希薄化する見通しという。これより前の11月15日に発表した増資では、1株当たり2.68HKドルで14億6,300万株を割り当てており、2022-24年のコアEPSの希薄化は0.7%、5.8%、5.9%。予想NAVの希薄化は3.7%。BOCIはこの2度の増資を反映させる形で、予想EPSを1.1%、12.0%、12.1%減額修正し、目標株価を7.6%引き下げた。ただ、最近の政策支援を受けたリスクの低減や現在株価の低バリュエーションを指摘。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 同社の10月の物件成約額(持ち分換算)は前年同月比で27.3%減の333億元。ただ、他の民営デベロッパーの成約額が軒並み30%を超えて減少したことを考えれば、相対的に軽傷だった。1-10月では前年同期比37.4%減の3,094億元と、やはり同業他社の40%超より小幅の下げに踏みとどまった。

 12月分の第三者割当増資で少なくとも正味47億4,000万HKドルを調達すれば、キャッシュフローの状況は確実に改善する。12月末には4億4,000万米ドルのシンジケートローンが満期を迎える予定。同社経営陣は銀行の大半が借り換えに応じると確信しているものの、仮に一部返済を余儀なくされても、今回の調達資金がバックアップとして機能する。また、6億米ドルのシニア債の償還期限が2023年1月に到来するが、同社はすでに、その一部の買い戻しを実施済み。残りの部分は11月の増資でカバーするという。BOCIはこうした状況から、12月の調達分の大半は将来的な必要に備え、留保できるとみている。

 BOCIは11月、12月と2度の増資を反映させる形で、1株当たり予想NAVを7.6%引き下げ、7.67HKドルに設定した。同社株価は現在、2022年予想PBR(株価純資産倍率)0.3倍で取引されており、対予想NAVで65%のディスカウント水準。同社の相対的に堅調な物件販売状況や、クリーンな信用状況と物件引き渡し実績を考慮すれば、現在株価は相対的に低水準にあるとした。

 一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、ゼロコロナ政策の緩和による初期的な影響が一時的にマイナスに振れる可能性を指摘している。