本土から香港上場企業への資金移動の手段を説明、同業銘柄のデフォルト懸念で
現地コード | 銘柄名 |
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00839 |
中国教育集団 (チャイナ・エデュケーション・グループ) |
株価 | 情報種類 |
8.22HKD |
株価 企業情報 チャート |
私立校運営会社の中国宇華教育(06169)の転換社債がデフォルトに陥る可能性が浮上したことで、同業の中国教育集団は2日、中国本土の内資運営会社から香港上場企業に資金を移す方法について説明するため、カンファレンスコールを行った。それによれば、同社は主に約94億元の会社間ローンの返済(非課税)を通じて資金の移し替えを行う計画。その後、香港上場企業に対して配当金を支払う形で、クロスボーダーの資金移動を決済する方法を検討しているという。一方、本業に関して、同社は学費値下げを考えていないとし、粗利益率の維持を見込む。BOCIは目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。
中国宇華教育のデフォルト懸念の原因は、国内の事業体から香港上場企業への資金移動に失敗したこと。これに対し、中国教育集団はクロスボーダーの資金移動に関する取り決めを説明。主に約94億元の会社間ローンの返済を通じて、香港のオフショア上場企業体に内資を移転する方針を示した。同社は香港株式市場に上場した後、調達資金の3分の2を会社間ローンの形で、本土のWFOE(Wholly-Foreign Owned Enterprise:全額外資子会社、外資規制を回避する手段としてのVIE=変動持分事業体スキームに用いる企業)に送金済み。香港上場企業の側が資金を必要としている場合には、WFOEが会社間ローンを返済する形で、本土から香港への資金の移転を非課税で行う。これにより、5-6年にわたる資金需要に対応できる見通しという。また、このローンを全額返済した後に、WFOEは香港上場企業側に配当を支払う形で、ボーダーを跨ぐ資金移動を決済する方向という。この部分は5%の源泉徴収税の対象となる可能性がある。
一方、本業では2022年8月期の粗利益率は約57%と前年比で1ポイント低下したが、これは相対的に利益率が低い新設校2校の連結化と減価償却費の増大が原因。今後はノウハウを生かし、新設校の経営の改善を図る。また、経営陣はこの先の景気悪化の可能性を考慮し、現時点では学費値下げを見送り、前年比5%の成長を目指す方針。ただ、最近の自社株価の調整を受け、当面は買収計画を棚上げする方針を明らかにしている。
同社は傘下の「独立学院」すべてを、収益化が可能な民営普通科大学に転換させる方針だ(「独立学院」とは国公立大学の名称を冠した私立のカレッジで、政府は廃止の意向。2020年5月の通達で、独立した民営大学か公営大学への転換、あるいは廃業を選択するよう求めた)。ただ、その進捗(しんちょく)状況は、各校が位置する省の政策履行ペースに依存するという。江西省ではすでに、営利目的の民営大学への転換に向けた認可が下り、現在、事業免許を申請中。年末までには取得できる見通しという。
BOCIは目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを維持した。レーティング面の潜在リスクとしては、長期的な政策リスクを挙げている。