2022年7-9月に24%増収、企業・個人向けソフトサブスク業務がけん引
現地コード | 銘柄名 |
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03888 |
金山軟件 (キングソフト) |
株価 | 情報種類 |
23.70HKD |
株価 企業情報 チャート |
中国のオンラインゲーム・オフィスソフト大手、キングソフトの2022年7-9月期決算は、売上高が前年同期比24%増と加速傾向を示した。企業向け、消費者向けのオフィスソフトのサブスクリプションサービスがけん引した。BOCIは「信創」(IT応用イノベーション:中国当局による国産技術の優先的調達システム)に関する2023年の見通し改善や加入者伸び率の加速見通しから、主力のオフィスソフト「WPS」ビジネスは有望との見方。中でも消費者向けサブスクサービスの2023年の値上げ方針が、ARPU(加入者1件当たり月額収入)や粗利益率の伸びを後押しする見通しを示した。目標算出ベースを2023年予想にシフトしたのに伴い、目標株価を小幅に引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。
7-9月期の売上高は前年同期比24.4%増の10億元。消費者向け、政府機関・企業向けのサブスクサービスの売上高が43%、47%の伸びを示した。ただ、粗利益率は前年同期を3.8ポイント下回る84.9%(前四半期比では1ポイント上昇)。「信創」ビジネスの構成比の低さから、純利益は3億900万元とほぼ横ばいだった。「WPS」のMAU(月間アクティブユーザー数)は前年同期比11%増、前四半期比1%増の5億7,800万件。
事業別では、政府機関・企業向けライセンス部門の売上高が6%増の2億2,500万元。「信創」の2022年の低調が影響した。ただ、経営陣はIT分野の強化を主眼に置いた中国政府の政策方針を理由に、2023年のライセンス収入の拡大を予想。BOCIもが2022年の前年比5%減から、2023年には20%増に転じるとみている。
政府機関・企業向けサブスクサービス部門の売上高は47%増の1億8,200万元。BOCIは法人顧客にとって、オンライン情報共有ソフトが有効であるとの見方。機関・企業向けサブスク収入について、2022年、2023年に前年比50%増、40%増を見込む。
個人向けのサブスクサービス業務の売上高は、7-9月期に43%増の5億1,700万元だった。同社はハイエンド、ローエンド双方に対応するため、2023年に価格設定を見直す方針。「オフィス365」(マイクロソフト)よりはるかに低価格であることから、BOCIは加入者側の損失は限定的とみて、この動きをタイムリーと受け止めている。2022年、2023年の消費者向けサブスク収入については36%増、35%増を見込む。
BOCIはオフィスソフト、クラウド、ゲーム部門について、それぞれ2023年予想PSR(株価売上高倍率)14倍、0.8倍、8倍をあてはめ、持ち株会社ディスカウント35%を適用。目標株価を小幅に引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。レーティング面の潜在リスク要因としては、単一ゲームタイトルへの高依存度や短期的な政府関連ビジネスの不透明感、情報共有ソフト市場の競争激化、過当競争を受けたクラウドビジネスの営業損失の長期化などの可能性を挙げている。