ヘッジ損失で7-9月も多額赤字、豚相場好転の波に乗れず
現地コード | 銘柄名 |
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01610 |
中糧家佳康食品 (コフコ・ジョイカム・フーズ) |
株価 | 情報種類 |
2.07HKD |
株価 企業情報 チャート |
中糧(COFCO)グループの食肉事業者、中糧家佳康食品は、2022年7-9月期に1億8,000万元の純損失を計上した。豚の先物取引による損失が主因。豚の価格相場が好転している状況下での多額の赤字計上で、市場の失望感を招いた。経営陣は2022年通期に小幅の黒字を確保するとの目標を据え置いているが、1-9月の純損失は15億7,900万元(前年同期は24億1,100万元の黒字)に達しており、BOCIは目標達成がかなり困難との見方。価格の上昇局面でヘッジ比率を引き下げるなどの、ヘッジ政策の適切な履行が、利益やバリュエーションの大幅な改善に向けた大前提になるとした。業界全体の強気のシグナルにもかかわらず、収益見通しが明確さを欠くとして、同社株価の先行きに対して中立的な見方を維持している。
7-9月期は1億8,000万元の赤字。同社は詳細を公表していないが、その多くをヘッジ損失が占めた可能性が高い。豚価格が上昇する中でのショートポジションが裏目に出たもよう。また、豚肉部門では、インフレや新規生産設備の稼働が利益を圧迫した。
経営陣によれば、2022年通期の豚生産目標の400万-440万頭は達成できる見込み。1-9月の生産実績は302万5,000頭であり、10-12月に前年同期比17%増の97万5,000頭を達成すれば目標に届く。7-9月が同19%減だったことから、BOCIは相当な努力が必要になるとの見方だ。ただ、同社が豚肉消費のピークシーズンに当たる10-12月期の価格上昇を見込み、7-9月には意図的に生産ペースを遅らせた可能性もあるとしている。
経営陣は黒字確保という22年通期目標を据え置いたが、これを実現するためには10-12月期に少なくとも14億元の純利益を確保する必要がある。BOCIはその前提として、豚生産量の急拡大と、豚価格の上昇による恩恵を享受するためのヘッジ率の引き下げが必須との見解。また、ヘッジポジションを開示していないことが利益見通しの不確実性を招き、短期的には同社への再評価に影響する可能性があるとしている。
BOCIは2022年通期の赤字を見込み、2023-24年の予想EPS(1株当たり利益)を33-47%減額修正した。豚価格の上昇サイクルの下、同社のヘッジ損失が断続的に続くとみている。2023年予想PER(株価収益率)3.5倍をあてはめて目標株価を引き下げたが、この目標算出ベースは同4倍からの下方修正。最近の多額の損失と利益見通しの不明確さを反映させた。
一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、中国の豚業況サイクルの回復の遅れ、飼料コストの急騰、消費の低迷、予想外のヘッジ損失などの可能性を指摘。逆にプラスの潜在要因としては、市場の集約化に伴う業況の急回復、外食需要の急回復を受けた豚肉需要の大幅増などの可能性を挙げている。