中国版「ゆうちょ銀行」、マクロ経済の減速下で2022年7-9月期も安定成長持続へ
現地コード | 銘柄名 |
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01658 |
中国郵政儲蓄銀行 (ポスタル・セービングス・バンク・オブ・チャイナ) |
株価 | 情報種類 |
4.24HKD |
株価 企業情報 チャート |
不動産不況や新型コロナ感染の再拡大を受けた中国経済の不確実性にもかかわらず、BOCIは中国郵政儲蓄銀行の2022年7-9月期決算について、安定的な利益成長を見込んでいる。1-3月、4-6月の前年同期比17.8%増、11.8%増に続き、7-9月の純利益も11%増加すると予想。その結果、1-9月期の増益率が前年同期比13.5%となる見通しを示した(上期は同14.9%増益)。営業利益に相当する業務純益に関しては、1-9月に9.5%増を見込む(上期は同10%増)。また、7-9月期も資産の健全性を維持するとの見方。さらに、親会社グループとの間で新たな預金代理手数料契約に調印したことが利益の上乗せにつながり、大手リテール銀行としての戦略的な地位固めにも寄与すると予想。預貸率の引き上げ余地が大きく、向こう2年で役務取引等利益(純手数料収入)が急拡大する可能性にも言及し、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。
同行の不良債権比率は本土銀行セクターで最も低水準にとどまる半面、不良債権の引当カバー率は最も高い水準に達する見込み。BOCIは9月末の不良債権比率について0.84%(6月末は0.83%)を予想。不良債権引当カバー率は407%に達するとみている(6月末は409%)。
資産の構造面の改善や資金コストの低下によるプラス効果で、純金利マージン(NIM)の縮小ペースは緩やかなものとなる見込み。BOCIは9月末に2.24%と、6月末比で0.03ポイント、21年比で0.13ポイントの縮小を予想している。
役務取引等利益は急成長を維持する見込み。正味手数料収入は1-3月期に前年同期比39.6%増、1-6月は56.4%増と推移したが、1-9月に関しては45%増を予想。主要銀行銘柄の中で、最も高い伸びを達成するとみている。リテール業務とウェルスマネジメント業務の強化戦略により、今後も純手数料収入の高成長が期待できるという。
一方、親会社の中国郵政集団に支払っている預金代理手数料の調整について、親会社側と合意したことがプラス。BOCIは同手数料の100億元規模の削減につながると試算し、2023年に約1%の利益押し上げ効果が見込めるとした。また、今回の契約が親会社の巨大なネットワークを生かしたリテール業務の一段の拡大とウェルスマネジメントビジネスの構築につながる可能性を指摘している。
同行のH株株価は現在、2022年予想PBR(株価純資産倍率)で0.51倍の水準。BOCIは優れた資産の質や手数料収入の高い伸び、利益成長見通し、高ROAE(平均株主資本利益率:2022年に11.8%を予想)などを理由に、同行株に対する市場の過小評価を指摘している。ただ、戦略投資家の1社が最近、保有株の売却に動いたことが投資心理に影響する可能性に触れ、2022年予想PBR0.94倍をベースに目標株価を引き下げた(1.0倍からの下方修正)。株価の先行きに対しては強気見通しを継続している。