株価大幅安も短中長期的にプラス材料、風力設備のリパワリングに潜在力
現地コード | 銘柄名 |
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00916 |
龍源電力集団 (チャイナ・ロンユエン・パワー) |
株価 | 情報種類 |
10.12HKD |
株価 企業情報 チャート |
風力発電の世界大手、龍源電力について、BOCIは短期、中期、長期のプラス材料がそれぞれ、ROE(株主資本利益率)やEPS(1株当たり利益)を下支えするとみている。2022年上期に浮上したマイナス要因に関しては、理解不足である可能性やこの先反転する見通しに言及。逆に、今後のリパワリング(風力発電設備の建て替えによるアップグレード)のポテンシャルがほとんど無視されていると指摘している。年初来の株価の大幅安はファンダメンタルズより、中国のマクロ経済の減速や市場のセンチメントに起因するとの見解。目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。
2022年上期は前年同期比18%の減益決算となり、市場の予想を下回った。風力の不足に加え、賞与支給サイクルの変更(年1回→4回)に伴う人件費の46%増が響いたが、これは費用計上時期のズレによる一過性要因となる。
また、世界的な利上げと景気後退への警戒感で、投資家はリスクオフ姿勢を強めているのが現状。エネルギー危機の下、各国がロシア産ガスの欠損分を補うために、化石燃料消費を増やしていることも、グリーン投資に対するセンチメントを悪化させている。こうした中、同社H株は高値水準から47%下落したが、BOCIはファンダメンタルズが盤石との認識。ROEの押し上げの可能性もあるとみる。
プラス材料について、まず短期的には、風速の回復がプラス。上期には風速不足が業績悪化の原因となったが、下期に入ってからの風力資源は前年を上回る水準にある。BOCIの分析では、中国の平均風速は9月に前年同月比5%増加し(ヨーロッパ中期予報センターのデータに基づく)、同社の風力発電量は30%以上増加した可能性が高い。冬までこの勢いが続けば、上期の稼働時間のロス分を取り戻すことも可能という。
中期的には、親会社による資産注入が支援材料。親会社の国家能源投資集団は龍源電力のA株上場から3年後(2025年1月末)までに風力発電資産を注入すると約束した経緯があり、BOCIは少なくとも14.4GWがその対象になり得ると推定している。
長期的にはリパワリングを通じて同社の真の価値が顕在化する見込み。同社は中国の風力発電のパイオニアで、良好な風力資源地を抱える。こうした設備は段階的に寿命を迎えるが、BOCIは従来型電力とほぼ同等の「グリッドパリティ」価格の設定や、貯蔵・送電補助設備への追加投資を考慮しても、フルのリパワリングにより、発電容量、ROE、EPSをさらに押し上げることが可能との見方。新規参入組が風力発電の好立地の確保に苦心している現状に触れ、好立地でのリパワリングが龍源電力の強みだとしている。
BOCIは2022-23年の利益予想を6%、4%減額し、2024年予想を8%増額。元安を織り込み、目標株価を引き下げつつ強気見通しを継続した。ファンダメンタルズ面の正当な理由なしに売られすぎで、投資家にとってはチャンスにもつながると指摘している。