細胞遺伝子治療時代が到来、2025年まで年率50%の増収見通し

現地コード 銘柄名
01548

金斯瑞生物科技

(ジェンスクリプト・バイオテック)

株価 情報種類

18.12HKD
(10/5現在)

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 BOCIは中国の生命科学サービス事業者、金斯瑞生物科技の株価の先行きに強気見通しを示し、新規のカバレッジを開始した。2002年創業の同社は100カ国以上を市場とする遺伝子合成の世界的企業。生命科学サービスや細胞遺伝子療法のCDMO(医薬品受託製造)、免疫細胞治療CAR-T、細胞合成生物学などの分野で事業を手掛けるプラットフォームベースのバイオテクノロジー企業に発展した。BOCIは急成長する生命科学サービス市場の波に乗り、同社の売上高が2022-25年に年率平均50.2%の成長を遂げると予想。シェア拡大やCDMOの着実な受注増、生産力の強化、CAR-T市場の世界的な拡大、各事業の相乗効果などを理由に挙げた。2024年には黒字に転換するとみている。

 世界のライフサイエンスサービス市場は2021年の120億米ドルから2028年には300億米ドルに拡大するとの予測が示されている(年率平均14%増)。同社のライフサイエンス事業の売上高は2015年の7,900万米ドルから2021年は3億600万米ドルへ年平均25%拡大した。BOCIはこの先、世界の同業他社から奪う形でシェアを拡大すると予想。◇納期の短縮に向けて高度な自動遺伝子合成技術の海外移転を進めている、◇遺伝子編集やたんぱく質、抗体、オリゴ、ペプチド合成などの川下事業が新たな成長エンジンとして台頭している――ことなどがプラスに働くとみている。

 また、同社はライフサイエンス分野の豊富な経験や顧客基盤を活用し、生物製剤と細胞遺伝子治療のCDMO業務を拡大している。CDMOの売上高と受注残高は2021年に前年比102%増、108%増。プラスミド(染色体DNAとは別の自己増殖性のDNAの総称)CDMOの国内トップクラスに浮上した。今後はがん遺伝子療法(CGT)のCDMO処理能力を大幅に増強し、業務の急拡大に対応する。また、BCMA(B細胞成熟抗原)標的のCAR-T療法「シルタセル」は中国初の細胞治療製品で、ベストイオンクラスの有効性に基づいて欧米と日本で承認を得た。最先端のMM(多発性骨髄腫)療法としてのシルタセルの世界販売に向けてヤンセンファーマと提携。米国で承認を得てから4カ月で、売上高は2,400万米ドル。ピーク時には51億米ドルに達する見通しという。

 同社は遺伝子合成と細胞遺伝子治療を両輪に据え、川上のライフサイエンスサービス、中流のCDMO、下流の細胞治療製品、合成生物学製品などを展開する。すべての事業が相乗効果を発揮する完全なエコシステムを形成している。

 BOCIはSOTP(サムオブザパーツ)方式で目標株価を設定。中国では希少価値のあるビジネス形態であることや、グローバルな事業展開、産業チェーンの全面的なカバレッジなどを高く評価し、株価の先行きに対して強気見通しを示した。一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、バイオテック企業の研究開発費の削減や、細胞遺伝子療法製品の主要パイプラインの遅延あるいは不具合などの可能性を挙げている。