カメラモジュール出荷が低調、利益見通し下方修正
現地コード | 銘柄名 |
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01478 |
丘タイ科技 (キュー・テクノロジー) |
株価 | 情報種類 |
3.29HKD |
株価 企業情報 チャート |
中国の携帯端末部品メーカー、キュー・テクノロジーはカメラモジュール(CCM)生産を手掛ける子会社・昆山丘タイ微電子科技のA株IPO(新規株式公開)に伴う情報の更新で、再びCCMの出荷見通しを下方修正した。BOCIはスマートフォン、中でもアンドロイド機向けの需要が引き続き思わしくないと指摘。米ドルに対する最近のユーロ、英ポンド、日本円の下落が高級ハードウエア需要に影響する見通しを示した。目標株価を引き下げ、株価の先行きに対する従来の強気見通しを中立的に引き下げている。
A株IPOに向けた昆山丘タイ微電子科技の目論見書には、2022年下期のCCM需要の鈍さが示唆されている。9月29日の最新情報では、9月のCCM出荷目標は3万9,000個と、8月4日時点の目標から14%ダウン。前年同月比では10%減と、2022年通期見通し(前年比最大5%の減少)を下回るペースとなった。キュー・テクノロジーはこれに伴い、2022年の昆山丘タイ微電子科技の売り上げ目標を3.4%下方修正したが、もともと極めて控え目だった利益目標は据え置いている(営業利益を除く)。最新の開示情報で唯一、明るい材料となったのは、8月までの未請求売上高のうち、車載用およびIoT関連の売上構成比が10.5%と、2021年比で8ポイント上向いたこと。事業多角化の進行をうかがわせている。
キュー・テクノロジーの指標の弱さは、9月以降の業界全体の下向きのトレンドと一致する。BOCIは最近の急速な米ドル高を受けた製品価格の値上がりが、世界の消費者向けハードウエア需要の新たな重しになるとみている。
一方、米国でのVR(仮想現実)プロジェクトには、今のところ大きな進展はない。VRヘッドセット「PICO 4」向けのシースルーカメラモジュールの独占サプライヤーとなったことは朗報だが、株価の支援材料という点で、より重要なのは「Meta Quest」関連ビジネスの獲得。キュー・テクノロジーは引き続き、第2の光学モジュールサプライヤーの座を目指し、米メタと協議中だが、Questの新製品発売が間近に迫っていることもあり、BOCIの予想より進捗(しんちょく)状況は鈍いという。
BOCIは通貨安やインフレといった逆風を反映させる形で、CCMと指紋認証モジュール(FPM)の出荷量、平均販売価格、利益率に関する見通しをさらに引き下げ、2022-24年の予想EPS(1株当たり利益)を23%、26%、22%下方修正した。また、2023年予想PER(株価収益率)8倍をあてはめて目標株価を引き下げ、株価の先行きに対する見方を中立的にダウングレードした。現在株価の低バリュエーションを指摘しながらも、短期的には投資心理の改善は期待しにくいとの見方。一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、FPMのアップグレードおよび需要の不足、新規顧客と新製品の認定の進捗状況、政治経済情勢やパンデミックによるデバイス需要への影響、競争激化――などを挙げている。