22日(木)夕方に衝撃の為替介入があった先週の日経平均株価は3営業日で前週比413円下落。2週間で1,000円以上も下落し、今週9月26日(月)から30日(金)も大きく下げて始まりそうです。

先週:支離滅裂の日本為替介入、英国財政出動で世界の株価が急落!

 先週は21日(水)深夜、米国の金融政策を決めるFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.75%の大幅値上げが強行され、米国株が大きく続落。

 翌22日(木)の日本株も下げました。

 24年ぶりの政府・日本銀行による為替介入のニュースが飛び込んできたのは、22日(木)の午後5時過ぎ。

 たった数十分で1ドル145円から140円まで5円もドルが売られました。

 しかし、ニューヨーク市場がオープンすると反転上昇し、25日(日)未明には1ドル143円台まで戻して終わっています。

 為替介入は効果がなかった、といっても過言ではないでしょう。

 無理もありません。22日(木)午後、日銀は金融政策決定会合を開き、量的緩和策の継続を決定したばかり。黒田東彦日銀総裁は「2~3年は利上げしない」と発言しました。

 金利がまったくつかない日本円を売って、金利収入が得られるドルを保有したい、という日米の金利差拡大こそ、円安の元凶です。

 その直接の原因である量的緩和策に何も変更を加えず、たった数時間後に円買い為替介入を行うのは、ある意味、支離滅裂。

 1ドル145円が政府・日銀の円防衛ラインとして働くのか。

 それとも、為替介入しても効果がないと敗北を認め、1ドル150円台に突入するのか。

 日銀と、その政策の矛盾をついて円売りを仕掛ける海外ヘッジファンドの攻防に注目が集まりそうです。

 しかし、それ以上の大打撃を23日(金)の株式市場に与えたのは英国ポンドです。

 年率10%を超えるようなインフレを抑えるべく、22日(木)、英国中央銀行であるBOE(イングランド銀行)は0.5%の大幅利上げを決定。

 しかし、リズ・トラス新政権は23日(金)、減税と財政出動による経済対策を発表しました。

 まさに、中央銀行が大幅利上げでインフレに歯止めをかけようとした直後、政府がお金をばらまき、インフレに油を注いでいるようなもの。

 ブレーキとアクセルを同時に踏むような、政府と中央銀行間の政策の支離滅裂ぶりが露呈しました。

 23日(金)の為替市場では、ポンドだけでなくユーロも大きく売り込まれ、欧州通貨危機のような状況に。

 際限のない利上げと景気後退懸念におびえる23日(金)の米株市場で、ダウ工業株30種平均は底割れして年初来安値を更新。多くの機関投資家が運用指標にするS&P500種指数も一時、6月安値を下回りました。

 日本株では、金利上昇に弱い成長株が売られ、東証マザーズ指数は前週比3.3%下落。

 外国人入国制限撤廃で先々週大幅上昇した旅行関連株も利益確定売り。エイチ・アイ・エス(9603)は週間で10%近く下げました。

今週:支持率低下の岸田政権。NISA恒久化は日本株の追い風にならない!?

 今の米国株は、強硬な利上げ路線の終わりが見えなくなり、物価上昇鈍化への期待感も打ち砕かれた状態でどんどん下げています。

 23日(金)には原油価格も急落するなどインフレ鈍化の兆しは見えています。しかし、今週も華々しいリバウンド上昇は見込み薄かもしれません。

 また、ウラジーミル・プーチン大統領が部分的な兵士動員令をかけたことで、ロシア・ウクライナ戦争は泥沼化しそうです。

 そのため、先週末に浮上した欧州発の為替ショックには引き続き目が離せません。

 今週は経済指標の閑散期ですが、28日(水)夜には金融機関の会議で、米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)のジェローム・パウエル議長が講演予定です。

 株価急落をなだめるような、少しポジティブな発言があれば、多少、反転上昇するかもしれません。

 経済指標としては、27日(火)の米国8月新築住宅販売件数などに注目が集まるでしょう。

 米国では住宅ローン金利が急上昇しています。新築販売件数が急激に落ち込むと景気後退懸念が深まりそうです。

 国内では27日(火)に安倍晋三元首相の国葬が執り行われます。

 国葬の賛否はともかく、岸田文雄政権の支持率は急速に低下しています。

 そんな岸田政権は「資産所得倍増プラン」を打ち出し、2023年度の税制改正要望にNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)恒久化が盛り込まれました。

 ただ、NISA恒久化を認める代わりに、財務省が株式投資の利益などにかかる20.315%の税金を引き上げる金融所得増税を画策する可能性もあります。

 再び闇に沈んでいる株式市場ですが、「明けない夜はない」といいます。

 22日(木)には、岸田政権が10月11日(火)から訪日外国人のビザ免除や入国者数の上限撤廃を行うと正式表明。

 国内景気の盛り上がりに期待したいところです。

 今週は、底値を探るような動き、これ以上は下げないという期待感が生まれるまで我慢する時期といえるでしょう。10月が来るのを待ちましょう。