2022年上期赤字も店舗収益性の改善プランが奏功、下期以降に採算性改善へ
現地コード | 銘柄名 |
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06862 |
海底撈国際控股 (ハイディーラオ・インターナショナル) |
株価 | 情報種類 |
18.60HKD |
株価 企業情報 チャート |
中国の火鍋料理レストランチェーン大手、海底撈国際の2022年6月中間期の純損失は2億6,600万元と、事前に発表した損失見通し「2億2,500万-2億9,700万元」のほぼ中央値だった(前年同期は9,500万元の黒字)。店舗ごとの収益性を重視する「キツツキ」計画に沿った既存店の閉鎖で、一過性の減損損失と売却損が3億770万元。これを除外したコア純利益は、新型コロナの影響で前年同期比56%減の4,100万元だった。BOCIは「キツツキ」計画の履行によるテーブル回転率の改善やコスト構造の適正化が、将来的な採算性の向上を後押しするとみている。また、同社は新たに策定した「ハードボーン(硬骨頭)」計画の下、一度閉鎖した店舗の一部を選択的に再出店する方針であり、BOCIは着実に成長路線に回帰しようとする同社の狙いがうかがえるとの見方。同社株価の先行きに対し、強気見通しを継続している。
経営陣によると、「キツツキ」計画を受けた店舗構成の改善とコロナ対策の緩和で、6-8月にはテーブル回転率が段階的に改善した。また、コスト削減策の一環として、1店舗当たりの従業員数を削減し、労働生産性が改善したという(コロナ前比で20%改善)。厳格なコスト管理を受けて、テーブル回転率を基準とする採算ラインが下がり、BOCIは下期以降の一段の採算性の改善を見込む。経営陣は次に、新製品の開発による価値の向上や顧客ロイヤリティの向上に照準を合わせる方針を明らかにしている。
「ハードボーン」計画の下、一部店舗の営業を再開するに当たっては、店舗同士の共食いの回避と、再出店後の収益性の確保が可能であるかが重要ポイントとなる見込み。同社は計画を成功させるために、店長に対する利益配分率の引き上げといったインセンティブを強化する方針。BOCIは成長性と収益性の回復をバランスよく両立させる形での経営努力が続くとみている。
一方、同社は店内飲食を主体としつつも、業務の強靭(きょうじん)化を目指し、それ以外の新規ビジネスを開拓する方針。4-6月の新型コロナの再燃を受けて店内飲食が再び難しくなる中、コミュニティービジネスを創設。自社アプリ「海底撈」やミニプログラム「撈点好貨」、第三者出前プラットフォームを通じ、鍋セットや弁当、生鮮品など、広範なデリバリーサービスを提供する。
BOCIは2022-2023年のコア純利益見通しを9%、4%下方修正。2024年までの予想EBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)を3%、2%、1%減額しながらも、2022/2023年予想EV/EBITDA13倍(2022年予想EV/EBITDA14倍から変更)をあてはめ、目標株価を9%引き上げた。新たな目標株価は2023年、2024年の予想PER(株価収益率)で35.7倍、27.2倍の水準。一方、レーティングの潜在リスク要因として新型コロナ長期化と国内経済の減速、競争激化、店舗網拡張の鈍化、商品インフレなどを挙げている。