2022年上期決算は予想上振れ、主力の飲料水と好調の茶飲料が成長けん引へ

現地コード 銘柄名
09633

農夫山泉

(ノンフー・スプリング)

株価 情報種類

46.10HKD
(8/26現在)

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 ミネラルウォーターの中国最大手、農夫山泉の2022年6月中間決算は、コア純利益が市場コンセンサス予想から8%上振れた。粗利益率が予想を上回ったことや効率的なコスト管理が奏功した。品目別では茶飲料が52%の増収を達成し、成長をけん引。売上高、営業利益全体の19.9%、23%を占めた(前年同期は14.4%、17%)。2022年通期の茶飲料の売上高について、経営陣は前年比倍増との目標を据え置いている。BOCIは茶飲料とボトルウォーターが両輪となり、今後数年にわたり成長の勢いが続くとの見方。販路拡大や強力な製品イノベーション、ブランド価値の強化を通じ、主要製品部門で最大手の座をさらに固めると予想し、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 上期の売上高は前年同期比9%増。新型コロナ感染の再燃が響き、前四半期の28%増から減速した。また、PET価格の高騰で、粗利益率は59.3%へ1.6ポイント低下したが、前四半期比では1.3ポイント改善し、競合他社を上回った。販売費や一般管理費の抑制が寄与し、コア営業利益(為替差損と株主報酬を除外)は10%の伸び。品目別では飲料水の売上高が5%増の93億元(全体の56.3%)で、茶飲料が52%増の33億元。ジュース、機能性飲料は各4%、1%増。全品目がコロナ対策の影響を受けたが、うち茶飲料は販路の拡大による顧客基盤の広がりで、他品目を大きく上回る増収を達成した。

 2022年通期の売上高について、経営陣は2桁増との目標を維持している。行動制限の緩和や東部の猛暑により、7月、8月の販売は好調という。粗利益率に関する通期の見通しは56-57%。上期の59.3%から下期には56-57%に低下するとの想定だが、これは固定価格での調達契約満了に伴うPET費負担の一段の増大見通しが理由という。ただ、BOCIは強力なサプライチェーンと規模を強みに、同社が過去にも強力な価格交渉力を発揮してきたと高く評価。さらに高利幅の茶飲料やボトルウォーターを重点とする戦略的シフトが、粗利益率を底上げするとみている。

 同社は引き続き、全価格帯をカバーするボトルウォーター事業を強化し、最大手の座を固める方針だが、同時にもう一つの戦略的な焦点となるのが茶飲料。上期には「茶π(Teaπ)」ブランドより「東方樹葉(オリエンタルリーフ)」が大きく伸びたが、これは前年実績の低さによるもの。BOCIは「東方樹葉」は販路の拡大余地が依然大きく、継続的な成長が期待できるとみる。経営陣は先発優位と強力な製品イノベーション力を強みに、無糖RTD(レディトゥドリンク)市場で主導的地位を確立する方針という。

 BOCIは予想粗利益率引き上げと販管費削減を反映させ、2022-2024年の予想純利益を9%、6%、5%増額修正。2022/23年予想PER(株価収益率)55倍をあてはめ、目標株価を引き上げた(従来の2022年予想PER58倍から半年先にシフトし、倍率を調整)。新たな目標株価は2023年、2024年の予想PERでは44.9倍、38.4倍の水準となる。