先週の日経平均株価は、物価高が収まる期待感もあり、米国株とともに続伸。前週比1,126円も上昇しました。今週7月25日(月)から29日(金)は揺り戻しの反落か、続騰か、大波乱の展開が予想されます。

先週:日経平均株価1,100円超上昇!揺り戻しの下落が怖い! 

 先週は、予想を上回る米国企業の2022年4-6月期決算や21日(木)、ロシアが欧州への天然ガス供給を再開したニュースを受け、世界的に株価の反転上昇が続きました。

 しかし、21日(木)に決算発表した米国の写真・動画共有アプリ会社・スナップ(SNAP)は売上高が予想に届かず、22日(金)に株価が4割近くも急落し、米国株全体も反落しました。

 業績悪化企業に容赦のない売りが浴びせられる神経質な展開に変わりはありません。

 今週は、26日(火)にマイクロソフト(MSFT)やグーグルの親会社アルファベット(GOOG)、27日(水)にフェイスブックの親会社メタ・プラットフォームズ(META)、28日(木)にアップル(AAPL)アマゾン・ドット・コム(AMZN)と、「GAFAM(ガーファム)」と呼ばれる巨大IT企業のほか、米国企業の決算発表が集中します。

 GAFAMの決算は日本市場が始まる直前の早朝に発表されるため、結果が予想以上に悪いと、翌朝27日~29日の日本株が急落する恐れもあります。

 先週、最もサプライズだったのは、21日(木)にECB(欧州中央銀行)が予想の倍となる0.5%の利上げを決定したことです。

 前年同月比8%以上の伸びが続くユーロ圏のCPI(消費者物価指数)を抑えるため、たとえ景気を犠牲にしても、今後もかなり大幅な利上げを続ける意向を示しました。

※CPIに関して、詳しくはこちら:1分でわかる!インフレと株価の関係

 ユーロ利上げによる金利差拡大の鈍化を受けて、日本円では一時1ドル135円台まで円高が進行し、これまで強かったドルが売り込まれました。

 22日(金)発表の米国の製造業とサービス業をあわせた7月総合PMI(購買担当者指数)が47.5と約2年ぶりの水準まで低下し、米国の景気後退懸念が台頭したことも、ドル安に拍車をかけました。

※PMIに関して、詳しくはこちら:1分でわかる!インフレと株価の関係

 ドル安にもかかわらず、ドル建てで取引されている原油価格は下落し、米国の長期金利の指標である10年物国債の金利も2.7%台まで低下しました。

 これは物価高に悩む世界経済にとって朗報です。

 先週の日本株では、21日(木)に2023年3月期の業績を大幅上方修正した大手海運3社が目を引きました。ともにコンテナ船事業が絶好調の日本郵船(9101)が前週比9%近く、商船三井(9104)が 10%近く上昇し、日本株の大幅上昇に大貢献しました。

今週:重大発表てんこ盛りの忙しい1週間。FOMCで急騰も!

 今週はGAFAMの決算や米国の金融政策を決めるFOMC(米連邦公開市場委員会)開催など非常に忙しい1週間です。

 先週、日経平均株価が1,100円以上上昇しましたが、まだまだ下げ相場における一時的なリバウンドに過ぎません。

 27日(水)に終了する米国FOMCでは0.75%の利上げが濃厚です。しかし、1%の大幅利上げが発表されると、株価急落のリスクもあります。

 ただ、今回の利上げで、米国短期金利の指標となるFF(フェデラル・ファンド)レートが2%を超えるのは確実です。

 次回9月21日(水)のFOMC以降、0.5%を超えるような大幅利上げはいったん打ち止めになる可能性もあります。

 27日(水)のジェローム・パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の記者会見で、9月以降に様子見に転じる意向がほのめかされると、悪材料出尽くしで株価が急騰する可能性もあります。

 28日(木)には米国の2022年4-6月期の実質GDP(国内総生産)の速報値、29日(金)には6月PCE(個人消費支出)やその価格指数(PCEデフレーター)も発表されます。

※GDPに関して、詳しくはこちら:1分でわかる!インフレと株価の関係

※PCEデフレーターに関して、詳しくはこちら:1分でわかる!インフレと株価の関係

 PCEは、米国GDPの7割を占める個人消費や、物価の動向を幅広く知るために、FRBが最重要視している指標です。

 前回発表の5月PCEが予想に反して前月比0.2%増にとどまったことが、景気後退シグナルと受け止められ、株価は急落しました。

 今回、PCEが大きく落ち込んだり、前年同月比6%台で高止まりするPCEデフレーターがさらに上昇したりすると、株価急落につながりかねません。

 長期金利や原油価格の下落もあり、市場は物価高や利上げに対しては反応薄になりつつあります。

 その一方、景気後退を示すデータが出ると、即座にネガティブな反応を示しやすくなっています。

 日本では、コロナ第7波による感染者急増が心配です。

 しかし、行動制限が行われていないことから、リオープン(経済再開)関連など内需株は底堅く推移しそうです。

 東証マザーズ指数が700ポイントを回復するなど、株価が割高な成長株にも買いが入り始めました。

 日本株自体は好材料に即、反応して上昇しやすい相場状況であることが安心材料といえるでしょう。