2021年7-9月に57%減益、短期の支援材料見当たらず

現地コード 銘柄名
02018

瑞声科技控股

(AACテクノロジーズ)

株価 情報種類

33.70HKD
(11/12現在)

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 スマホ部品メーカー、瑞声科技の2021年7-9月期決算は純利益が前年同期比57%減、前四半期比53%減の1億8,300万元と、同社が事前に発表した通りの低調な数字となった。BOCIは最大の問題点として、過当競争が鮮明なスマホ部品事業のウエートが過度に大きい点を挙げている。タブレットやPCの金属筐体、車載用の音響部品やレンズといった他分野に参入してはいるものの、多角化はまだ初期段階にあると指摘。利益見通しを減額修正した上で、目標株価を引き下げ、株価の先行きに中立見通しを継続した。

 7-9月期の売上高は42億元(前年同期比6%減)、粗利益率は22.7%と市場予想をそれぞれ8%、0.8ポイント下回った。光学部品の売り上げが前四半期比52%減少し、粗利益率が7ポイント落ち込んだため。プロジェクトの遅れや末端需要の不振が響いた。

 うち音響部品を見ると、7-9月期の売上高は22億元で、粗利益率は前四半期を2.1ポイント下回る26.3%。それでも他部門に比べれば堅調だった。アンドロイド・スマホ向けが低迷する半面、需要ピーク期を迎えた主要取引先向けのシェアが安定的に推移したことが寄与した。車載用の音響アプリケーションは、同社の新たな市場になるとみられるが、BOCIによれば、認定や量産化は数四半期先になる見通しという。

 一方、光学部品の売上高は7-9月期に前年同期比17.6%減の3億9,000万元。粗利益率は15%と、前四半期比で7ポイント、前年同期比では9.6ポイント下落した。2桁減収は主に、需要の低迷や半導体と原材料の不足によるもので、これが設備稼働率の低下と利幅の悪化を招いた。6P(6枚レンズ)部品の比率が11%と、スケジュールに遅れが出る中、競争激化を背景に、5Pレンズの平均販売価格が下落した。BOCIは同社独自のウエハレベルガラス(WLG)技術について、製品採用率が採算レベルに達するかどうか、現時点では確証が持てないとしている。

 このほか、EMドライブ(電磁駆動)事業では、アンドロイド用のx軸ハプティクス・モーターの出荷が前年同期比倍増し、米国の主要顧客向けのシェアも安定的だった。ただ、BOCIはアンドロイドとスマホ以外に関しては、x軸ハプティクスの採用がスローペースであることを懸念している。また、精密部品事業では、金属筐体の出荷は回復しているが、ファーウェイに対する米制裁前の水準には戻っていない。半面、2021年10月の東陽精密機器(崑山)有限公司の買収は、非スマホ部門への多角化を加速させる可能性が高いという。

 BOCIは短期的には、強力な支援材料に欠けると指摘。2022年予想PER(株価収益率)19倍をあてはめて目標株価を引き下げた。レーティング面での潜在リスク要因としては、競争激化による音響、ハプティクス(電磁電動)部品の価格低下や、光学部門の新製品投入の遅れ、新型コロナの需要への影響、半導体不足などを挙げている。