2021年7-9月期は実質小幅減益、規制強化の影響が一部顕在化

現地コード 銘柄名
00700

騰訊控股

(テンセント・ホールディングス)

株価 情報種類

 483.60HKD
(11/11現在)

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 テンセントの2021年7-9月期決算は、売上高が前年同期比13.5%増の1,424億元。フィンテックおよびビジネスサービス部門の好調と安定的なPCゲーム収入が2桁増収をけん引したが、ブルームバーグのコンセンサス予想とBOCIの予想をそれぞれ2.1%、2.9%下回った。純利益(非GAAP)は前年同期比1.7%減の317億元。BOCIの予想を5.7%上回ったものの、特定業種への中国政府の規制強化が広告収入に一部影響し、コンセンサス予想を1.9%下回った。ただ、BOCIは収益伸び率の減速は事前に織り込み済みだったと指摘。目標算出基準を2021年予想から、2022年予想ベースにシフトしたのに伴い、目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 部門別では、ゲームの売上高が前年同期比5%増の336億元。「王者栄耀(Honor of Kings)」「Call of Dutyモバイル」「天涯明月刀(Moonlight Blade)モバイル」などがけん引した。海外向けのゲーム売り上げは20%増の113億元。また、ソーシャルネットワーク収入は7%増の303億元。動画、音楽配信のサブスクサービスの高成長と、ライブストリーミング収入、ゲーム内アイテム課金の緩やかな伸びが寄与した。

 広告収入は前年同期比5.4%増の225億元。教育、保険、ゲームなどの広告の低迷を、消費財やネットサービス、自動車がカバーしたものの、全体的にビディングの密度が低下し、広告料金に影響した。経営陣は厳しいマクロ経済環境や一部業種に対する政府の規制強化を理由に、向こう数四半期にわたって広告市場の低迷が続くと予想。前年実績の高さもあり、2022年のプラス成長の確保はかなり難しいとしている。

 一方、フィンテックおよびビジネスサービス部門の売上高は前年同期比30%増の433億元。アクティブユーザー数の伸びと利用頻度の上昇を背景に、デジタル決済取引が増加したことが増収を支えた。うちビジネスサービス収入は、従来型産業のデジタル化を背景に、健全な伸びを維持。「企業微信」(WeCom)やCRM(顧客関係管理)、「テンセント・ミーティング」など各サービスの利用増が、PaaS、SaaSの需要増をけん引した。

 BOCIは2021-2023年の非GAAPベースの予想純利益を1.2%、9.3%、13%減額修正したが、これは規制強化を理由とする広告収入、ゲーム収入の影響や、広告、フィンテック関連業務の利益率への影響を反映させたため。さらに、社会福祉分野への投資増を織り込む形で、販売費・マーケティング費に関する想定値を引き上げた。

 BOCIはまた、2022年の予想PER(株価収益率)をベースとしたSOTP(サムオブザパーツ)方式に基づき、目標株価を引き上げ、株価の先行きに対する強気見通しを継続した。一部投資先企業の収益増などを考慮し、基準とする予想PERを据え置いた(ゲームは20倍、広告は16倍)。レーティング面での潜在リスク要因としては、ゲームや広告などに対する規制強化が同社のプラットフォームビジネスに影響する可能性を挙げている。