2021年7-9月期は小幅に予想上振れ、原材料高騰は2022年上期まで持続か

現地コード 銘柄名
00220

統一企業中国控股

(ユニ・プレジデント・チャイナ)

株価 情報種類

 6.49HKD
(11/11現在)

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 台湾系の飲料・即席麺大手、統一企業中国の2021年7-9月期決算は、純利益が前年同期比4%増の6億4,100万元と、上期の同20%の減益からプラス成長を回復した。主に広告・宣伝費の抑制によるもの。上期に赤字だった食品部門は10%台半ばの売り上げ成長を達成し、黒字に転換した。ただ、設備稼働率が改善する半面、原材料価格の高騰がそれ以上に打撃となり、粗利益率を圧迫した。商品インフレが2022年上期まで続くとみられる中、同社は価格転嫁を検討中。BOCIは株価の先行きに対して中立見通しを維持している。

 食品部門の7-9月期の売上高はベース効果もあり、前年同期比10%台半ばの伸びを達成。上期の10%減から持ち直した。平均販売価格が1個当たり5.0元を上回る高価格帯製品が、それ以下のマス市場向けを上回る成長を遂げ、売り上げ全体の40%を占めた(20年時点では35.6%)。カップ麺「湯達人」、温め機能付きのインスタント中華弁当「開小竃」といったプレミアム製品の需要が引き続き旺盛で、いずれも前年同期比2桁の増収(上期は「湯達人」が横ばい、「開小竃」が2桁増収)。経営陣は商品ラインナップの充実と生産能力の拡大を理由に、特に「開小竃」の長期成長に自信を示している。また、経営陣によれば、麺製品の在庫調整は4-6月期にほぼ完了し、7-9月期決算への影響は軽微だった。一方、飲料部門は7-9月も前年同期比2桁増収を維持したものの、上期の25%増収から減速した。

 7-9月には原材料調達コストの高騰が上期より鮮明となったが、経営陣は続く10-12月期-2022年上期も、厳しい環境が続く可能性を指摘している。特に懸念されるのは2022年1-3月期のコスト圧力。このため、10-12月中にも、カテゴリー内で独占的地位にある一部の麺製品と飲料を対象に、値上げを目指す。2022年に向け、健全な売り上げ成長の維持と採算性の改善を図るという。また、同社は急速に変化する顧客のニーズに対応するとともに、長期の持続的成長を確保するため、製品のイノベーションとプレミアム化への投資を継続する方針。一方、経営陣は増配の可能性についても排除せず、現在検討中であるとしている。

 BOCIは2021-2023年の利益見通しを据え置き、2022年予想PER(株価収益率)20倍(過去3年の日平均値とほぼ同水準)に基づく目標株価を維持。株価の先行きに対して中立見通しを継続した。レーティングの見直しにつながる可能性がある潜在的なプラス要因としては、「開小灶」の充実やプレミアム化の迅速な実現と、製品値上げの実施を指摘。逆にマイナス要因としては、競争激化、商品インフレのほか、消費者の嗜好(しこう)が変化する可能性を挙げている。