2021年7-9月期は2桁減益、セメント価格急伸で10-12月の業績改善に期待

現地コード 銘柄名
03323

中国建材

(チャイナ・ナショナル・ビルディング・マテリアル)

株価 情報種類

9.21HKD
(11/2現在)

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 セメントの世界最大手、中国建材の2021年7-9月期決算は、純利益が前四半期比18%減、前年同期比10%減の52億元と、BOCIの予想を小幅に下回った。セメント、新素材の両事業の低迷が、前四半期比で2割近い減益の要因となった。ただ、最近のセメント価格の上昇や石炭調達価格の下落を理由に、BOCIはこの先、セメント事業の単位当たり粗利益率が改善すると予想。目標株価を引き下げながらも、現在株価の低バリュエーションを指摘し、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 7-9月期の純利益は前四半期比で18%落ち込み、同業の安徽コンチセメント(00914)の19%減と、ほぼ同水準の減少幅。中国建材は安徽コンチセメントとは異なり、セメント生産に特化しているわけではないが、7-9月期に関して言えば、新素材事業がカバー役として機能しなかった。

 同期の2桁減益の主因は、石炭調達価格の高騰と生産活動の制約という逆風の中、単位当たり粗利益率が低下し、セメント販売量が減少したこと。また、新素材部門では、傘下の北新集団建材(000786)と中材科技(002080)の同期利益がそれぞれ前四半期比で33%、37%落ち込み、足を引っ張る形となった。コスト高に加え、一過性の売却益などのはく落が響いた。

 ただ、主力のセメント部門では7月後半以降、主要事業エリアで製品価格が大幅高に転じており、今後は単位当たり粗利益率が大きく回復する見込み(地域別の比重は中国北部30%、中部66%、南西部52%)。BOCIは減損損失の増減が10-12月期決算を左右するとしながらも、現時点では前年同期並みの75億元に収まるとみている。

 BOCIは今回、2021-2023年の予想純利益を2%減額修正したが、2021年12月通期に関しては引き続き前年比34%の利益成長を見込む。現在株価に関しては、2021年予想PER(株価収益率)で3.8倍にとどまる半面、予想配当利回り8.3%という魅力的な水準にあると指摘している。

 目標株価はSOTP(サムオブザパーツ)方式に基づいて下方修正したが、これは最近の同業他社の評価の後退を受け、目標算出基準とするセメントおよびコンクリート部門の2021年予想EV/EBITDA倍率を4.15倍から3.6倍に、エンジニアリング部門の同倍率を8.0倍から6.6倍にそれぞれ引き下げたため。新たな目標株価は2021年予想PERでは8倍相当の水準となる(EV/EBITDA倍率はEV=企業価値がEBITDA=利払い・税引き・償却前利益の何倍に当たるかを表す指標)。

 一方、この先のレーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、セメント価格が急落する可能性、新製品の収益が予想を下回る可能性を挙げている。