半導体や電力不足で7-9月に業績悪化、米アップル向け業務の拡大などに期待

現地コード 銘柄名
00285

比亜迪電子国際

(BYDエレクトロニック)

株価 情報種類

 23.15HKD
(11/1現在)

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 中国のスマホ部品受託製造大手、BYDエレクトロニックは、2021年7-9月期の業績悪化が鮮明だった。スマートフォン需要の低迷やIC(集積回路)の供給不足、中国国内の電力不足、電子たばこ業務の減速などが背景。BOCIは業績低迷を受け、2021-2023年の予想EPS(1株当たり利益)をそれぞれ22%、19%、17%減額修正した。ただ、2022-2023年の米アップル向け業務の拡大見通しや電子タバコビジネスの潜在性を理由に、同社株価は魅力的な水準にあるとの見方。短期的には2つの新規事業向けのR&D(研究開発)投資が利益圧迫要因となる可能性を指摘しながらも、株価の先行きに強気見通しを継続している。

 7-9月期決算は低調で、売上高は前四半期比13%減、前年同期比6%減。◇8-9月の電力不足に伴う広東省恵州工場の稼働率低下◇スマホや自動車向けの半導体不足◇アンドロイド・スマホの需要低迷などが響いた。米国の大口顧客向けの新規事業に絡むR&D費用の増大で、純利益は前年同期比72%減の5億1,400万元だった。

 うちスマホの組立事業は、需要の減速や半導体不足、電力不足を背景に7-9月期に苦戦した。ただ、米制裁下にあるファーウェイから独立した「オナー(栄耀)」ブランドが、10-12月に入ってから勢いを見せているという。一方、米アップルが先ごろ報告した通り、タブレットの組立業務には半導体不足により遅れが出ている。

 部品事業に関しては、BOCIは年末までに、「iPhone」用の背面ガラスが試作段階に入ると予想。これが部品製造部門の2022年のけん引役になるとみる。また、主要顧客向けのタブレットEMS(製造受託)業務における同社のシェアは拡大傾向にあり、今後はケーシング(筐体)のシェアも段階的に上向く見通しという。

 新インテリジェント製品(NIP)事業では、経営陣はまだ初期段階にある電子タバコビジネスに対して楽観的。国内のOEM大手3社、海外大手1社との共同開発を進めており、2021年に15億元の売り上げを予想。2022年には倍増するとみる。

 自動車インテリジェントシステム(AIS)事業は車載半導体不足に直面するが、経営陣は親会社BYD(01211)とのインフォテインメントやコミュニケーション・モジュール、部品などの共同開発に商機を見出している。BOCIは自動車の電動化による恩恵を指摘。AIS事業の2020-2023年の増収率が年平均47%の高水準を維持すると予測している。

 BOCIはアンドロイド・スマホ市場の予想以上の減速や部品不足、電力不足による悪影響を反映させる形で、2021-2023年の予想EPSを減額修正。2022年予想PER(株価収益率)16倍をあてはめ、目標株価を引き下げた。16倍という数字は19倍からの下方修正となるが、過去3年の平均値(14倍)を上回る。一方、レーティング面での潜在リスク要因としては、半導体不足、新型コロナに起因する海外の生産増強計画の遅れ、電子タバコに関する世界的な規制の可能性などを挙げている。