2021年7-9月は実質減収減益も明るい兆し、行動制限緩和や値上げで業績回復へ

現地コード 銘柄名
01876

百威亜太控股

(バドワイザーAPAC)

株価 情報種類

 19.28HKD
(10/29現在)

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 アンハイザー・ブッシュ・インベブのアジア子会社、バドワイザーAPACの2021年7-9月期決算は、為替変動要因を除いた売上高が前年同期比2.2%減少した。EBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)マージンが横ばいに推移する中、調整済みEBITDAは同3.5%減と、ほぼ市場の予想通りの水準だった。中国での新型コロナ・デルタ株の散発的な感染や韓国での外食制限の強化を受けた業務用需要の低迷が痛手となり、ビール販売量は6.1%減。ただ、プレミアム化に伴い平均販売価格が4.2%上昇し、収益へのマイナス影響を一部カバーした。プレミアムビール重視のアップグレード戦略は、今後も焦点となる可能性が高い。BOCIは中国での製品値上げや韓国での制限緩和(いずれも11月1日付)、さらにはインドでの感染減を理由に、続く10-12月期の業績改善を予想。同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 地域別に7-9月期決算を見ると、主に中国とインドで構成される「APAC(アジア太平洋)西部」は、売上高が前年同期比2.0%減(為替変動要因を除く、以下同じ)。非経常項目などを除外したノーマライズド・ベースのEBITDAは4.2%減だった。販売量は6.1%減少した。うち中国では、プレミアムビールの主要市場である福建省と広東省での外食店の閉鎖が響き、販売量が7.1%減少したが、スーパープレミアムは引き続き好調で、「ブルーガール(藍妹)」と「ヒューガルデン」が2桁増を達成。平均販売価格も3.7%上向いた。中国事業のノーマライズドEBITDAは7-9月期に前年同期比6.6%減となっている(4-6月期は8.4%増)。商品インフレに直面する中、同社は世界規模でヘッジを行っているが、中国ではさらに値上げを行う方針。一部地域の特定ブランドを対象に、11月1日付で3-10%の値上げを予定している。一方、インド市場は新規感染者の大幅減を受けて急回復し、7-9月期には販売量、売上高ともに2桁増を達成した。

 韓国を主力とする「APAC東部」は、7-9月期に前年同期比2.9%の減収で、EBITDAはほぼ横ばい。感染抑制措置の影響で販売量は6.3%落ち込んだが、平均販売価格は3.6%上昇。販路やブランド構成の適正化により、4-6月の同2.3%から加速した。うち韓国では7-9月の販売量が1桁台半ばの落ち込みを示したにもかかわらず、市場シェアが明らかに上昇。EBITDAマージンは投資の段階的な実施やコスト管理の強化により、明らかに改善傾向を示した。韓国政府11月1日付で、外食の営業時間や受け入れ客数に関する制限緩和を予定している。

 BOCIは2021-2023年のEBITDA予想、純利益予想を据え置き、目標株価を現行水準に維持した。レーティング面の潜在リスク要因としては、市場競争の激化、商品インフレの高進、製品のプレミアム化のペースダウン、新型コロナによる影響の長期化などの可能性を挙げている。