新株増資で104億元調達へ、新たな製品ライン開発などで持続的成長に道筋

現地コード 銘柄名
02331

李寧

(リネイ)

株価 情報種類

 87.40HKD
(10/29現在)

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 李寧は10月27日、新株1億2,000万株を発行し、約104億HKドルを調達する計画を発表した(新株数は既存の発行済み株式総数の4.81%、増資後の4.59%に相当)。新たな製品ラインの開発や、サプライチェーン、ITインフラの拡充などに調達資金を充当する方針。ほかに買収機会や海外市場の一段の開拓を視野に入れる。BOCIは短期的に、EPS(1株当たり純利益)希薄化に伴う株価の下押し圧力が生じる可能性を指摘しながらも、同社の一連の戦略がブランドエクイティ(ブランドの無形資産価値)の向上に裏打ちされた持続的成長を支えるとの見方。同社株価の先行きに対し、強気見通しを継続している。

 今回の増資は、李寧の筆頭株主ビバチャイナ(08032)を通じ、「先旧後新」方式で行う予定(「先旧後新」とは既存株の売り出しと第三者割当増資を組み合わせた新株発行方式で、一般に手続き上の利便性が高い)。ビバチャイナが手元の李寧株の一部を売り出した後、李寧が同社に、同数の新株を割り当てる。割当価格は1株当たり87.5HKドルと、10月27日終値の95.2HKドルを8.09%下回る水準で、正味調達額は約104億HKドル。取引完了後には発行済み株式総数が4.8%増加し、短期的にはEPSが希薄化する。また、これに伴い、ビバチャイナの持ち株比率は現在の10.87%から10.37%に低下し、浮動株の割合は88.91%から89.42%に増える運びとなる。

 李寧はレディースやエクストリームスポーツ向けなど、新たに立ち上げた製品ラインに、調達資金を充てる方針。市場シェアの拡大に向け、製品イノベーションやマーケティングに投資する。また、この先、自前の運営モデルの下で創設する予定の新たなスポーツファッションシリーズ、「李寧1990」の店舗網構築に振り向ける方針。「李寧1990」のターゲット層は30-40代で、既存の「中国李寧」より、高めのポジショニングになるという。このほか、小売事業の改革に伴うサプライチェーンやITインフラ(ERPシステムのアップグレードなど)の持続的な拡充にも、調達資金を充当する予定。BOCIはさらに、同社経営陣がブランドエクイティの価値向上を強みに、海外市場の開拓や内外での買収に動く可能性を排除していないと指摘。こうした一連の取り組みが長期成長を支えるとの期待感を示している。

 BOCIは2021-2023年の予想純利益を据え置きながらも、EPSの希薄化効果を反映させる形で、目標株価を5%下方修正した。目標算出に当たっては、引き続き2022年予想PER(株価収益率)51倍をベースとした。一方、レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、◇パンデミックの長期化、◇小売事業改革の不調、◇ブランドエクイティの劣化、◇スポーツファッションシリーズのファッションリスク(不人気リスク)、◇新規ビジネス開発の不発などの可能性を挙げている。