2021年7-9月期は35%減益と苦戦、政策絡みの業務減と販管費高止まりが痛手に
現地コード | 銘柄名 |
---|---|
03969 |
中国鉄路通信信号 (チャイナ・レールウェイ・シグナル・アンド・コミュニケーション) |
株価 | 情報種類 |
2.84HKD |
株価 企業情報 チャート |
鉄道運行システムの総合プロバイダー、中国鉄路通信信号の2021年7-9月期決算は、売上高が前年同期比19.7%減、純利益が35.2%減と、予想以上に厳しい数字となった。粗利益率はほぼ横ばいの23.3%だったが、販売費及び一般管理費がわずか3.3%の減少率。売り上げ減をコストダウンでカバーするには至らなかった。また、事業部門別に見ても、主力の鉄道システム事業が前年同期比26.3%減収、都市交通システム事業が33.5%減収。海外事業も85%の大幅減収だった。BOCIはSOTP(サムオブザパーツ)方式に基づいて目標株価を引き下げながらも、目標水準までの上値余地を指摘。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。
7-9月期の大幅な業績悪化の主因は、売上高が前年同期比で19.7%落ち込む中、販管費が3.3%の削減率にとどまったこと。主力の鉄道と都市交通が各26.3%、33.5%の減収で、この2部門が売上全体に占める割合は65.2%。一方、建設請負事業は7.7%増収と堅調だった。BOCIは7-9月期の2割減収の要因として、中国の5カ年計画の初年度には毎回、インフラ投資が落ち込む傾向がある点を指摘している(2021年は第14次5カ年計画の初年度に当たる)。
粗利益率が横ばいに推移し、販管費が小幅減にとどまったことで、7-9月期の純利益は前年同期比35.2%減。武漢発のコロナ禍にあった2020年上期より、さらに悪い数字となった。
7-9月期の新規受注は前年同期比1.7%増の126億元と、ほぼ横ばい。鉄道向け、都市交通向け信号システムの新規受注がそれぞれ10.7%、22.6%増加する半面、建設請負が17.6%落ち込んだためだが、これは建設事業のウエートを抑えるという同社の戦略通り。PPP(官民連携)プロジェクトの費用負担が過度に大きいとの理由から、同社は戦略的に、建設請負事業を断念する方針という。
BOCIは2021年の利益見通しを13.5%減額修正した。修正後の予想純利益は前年比4.7%の減益に当たる数字。続く2022年、2023年に関しては前年比9.0%、8.5%の増益見通しを示した。従来と同様、信号システム事業に2021年予想PER(株価収益率)12倍、建設請負事業に同9.1倍をあてはめ、目標株価を下方修正。株価の先行きに対しては、強気見通しを継続した。
一方、今後のレーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因として、BOCIは5カ年計画の初年度と2年目(2021年と2022年)のインフラ投資が、予想以上に鈍化する可能性を挙げている。