7-9月期決算は予想上振れ、新規ネットワークの始動で5Gカバーエリア拡大へ

現地コード 銘柄名
00941

中国移動(香港)

(チャイナ・モバイル)

株価 情報種類

48.80HKD
(10/21現在)

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 中国の通信キャリア最大手、チャイナ・モバイルの2021年7-9月期決算は、純利益が前年同期比8.7%増の281億と、BOCIの予想(271億元)から3.5%上振れ、市場コンセンサス予想を上回った。EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)マージンが前四半期比で0.3ポイント上昇し、コストコントロールが効果的に行われたことを示唆した。同社の5Gプラン契約者のうち、実際に5Gサービスを利用している人の割合は48%にとどまったが、700Mhz帯の5G基地局の投入でネットワーク効率が大きく改善し、カバー範囲が広がる見込み。BOCIは目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。同社を中国通信セクターのトップピック銘柄としている。

 7-9月期のEBITDAは前年同期比6.1%。EBITDAマージンは前四半期を0.3ポイント上回る42%。5Gの始動に伴い、ネットワーク費用が膨らむ中にあって、コストコントロールに成功したことを示唆した。

 7-9月期には移動通信部門のARPU(加入者1人当たり月額収入)が前年同期比0.2%増加したが、これは5Gプラン契約数が期中に8,000万件増え、携帯顧客全体の34.6%を占めるまでに拡大したことが背景。一方、実際に5Gネットワークを利用している顧客は9月末に1億6,000万件と、5Gプランの契約者全体の48.3%。この数字は5G対応スマホへの買い替えと5Gネットワークのカバーエリアの広がりに伴う、データ利用の一段の拡大余地を示唆している。実際、7-9月期には700Mhzの5G基地局の運用が始まり、5Gの屋外カバー範囲がこの先、大幅に拡大する見通しとなった。

 同社の総サービス収入は7-9月に前年同期比7.3%増と、国内業界全体の7.6%増を小幅に下回った。BOCIはその理由として、同業他社による企業向け固定通信事業の成長を指摘している。

 工業情報化部(MIIT)の9月の月次報告書によると、中国国内の通信サービス収入は前年同月比8.4%増と、8月の6.4%増から加速した。内訳をみると、移動通信サービス収入が前年同月比7.5%増(8月は6.7%増)。固定通信サービスが同9.8%増(5.8%増)と、いずれも前月比で加速傾向を示した。

 BOCIは700Mhz 5Gの始動に伴う5Gサービスエリアの拡大を見込むと同時に、3.5Ghz帯の同種の5G基地局と比べ、無線ネットワーク効率が8-10倍に改善するとの見方。さらに省エネにもつながるとの見通しを示した。目標株価を据え置いた上で、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 一方、同社株の支援材料としては、上海A株市場への重複上場に伴う投資家基盤の多様化を指摘(2021年8月に中国証券当局が重複上場申請を受理)。逆にレーティング面での潜在的なリスク要因としては、投資関連の米制裁措置による影響を挙げている。