2021年7-9月に新規受注28%増、香港空港跡地の再開発が2022年に利益貢献開始へ

現地コード 銘柄名
03311

中国建築国際

(チャイナ・ステート・コンストラクション)

株価 情報種類

 8.07HKD
(10/19現在)

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 中国建築集団傘下の香港の総合建設大手、中国建築国際の2021年7-9月期決算は、売上高が前年同期比15.6%増加し、営業利益および合弁会社の持ち分利益は同11.6%増。期中の新規受注は28.2%増(1-9月期では36.15%増)と、増収率を上回るペースとなった。利益が伸び悩んだのは不動産開発事業の利益計上額が少額にとどまったため。ただ、今後は香港カイタック空港跡地の再開発プロジェクトが、2022年にも利益貢献を開始する見通しという。BOCIは従来の収益予想がやや控えめだったとして、2021年の売上高、利益見通しをそれぞれ1.3%、2.0%増額修正。これまでと同様に2021年予想PER(株価収益率)8.0倍をあてはめた上で、目標株価を小幅に引き上げた。同社株価の先行きに対し、強気見通しを継続している。

 四半期報告書によると、売上高は7-9月に前年同期比15.6%増、1-9月では25.1%増。営業利益・合弁会社利益は7-9月に11.6%増、1-9月では18.2%増だった。中国本土でのPPP(官民連携)プロジェクトの寄与で、営業利益率は4-6月の13.2%から、7-9月には18.2%に上昇している。

 不動産開発部門の利益貢献は7-9月に低い数字にとどまった(2020年下期の利益実績は6億HKドル)。不動産事業の収益計上は物件引き渡しのタイミングで発生し、過去にはマカオと香港大埔での住宅開発事業がかなり大きな利益源となったことがあった。今後に目を向けると、まず次の収益源となるのは、香港カイタック空港跡地での住宅開発であり、BOCIは2022年にも利益貢献を開始するとみる。

 一方、長期の成長エンジンとなるのは、香港の「北部都会区」開発プロジェクト。広東省深セン市と隣接する香港の北部エリアに一大ニュータウンを開発する構想で、10月上旬の施政方針演説において明らかにされた。同社は香港のゼネコン最大手の1社であり、このプロジェクトにおいても重要な役割を果たす見込み。開発プロセスは向こう10-15年にわたって続くとみられ、同社の成長サイクルの長期化を後押しすることになる。

 BOCIは2021年の収益見通しを小幅に上方修正したのに伴い、目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。レーティングの見直しにつながる可能性がある短期的な潜在リスク要因として、原材料価格の供給ひっ迫と調達価格の高騰を指摘。長期的には、「北部都会区」プロジェクトの履行状況が不透明要因となる可能性に言及している。