独禁法違反で34億元超の罰金処分、不透明材料を一つ払しょく

現地コード 銘柄名
03690

美団

(メイトゥアン)

株価 情報種類

256.00HKD
(10/11現在)

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 生活関連サイト運営大手の美団は、中国の国家市場監督管理総局(SAMR)から独占禁止法違反を理由に34億4,200万元の罰金処分を受けたが、この金額は中国国内での2020年の売上高の3%に相当し、市場予想の範囲内だった。BOCIは政策面の不確実要素が一つ払しょくされたことをポジティブに受け止めている。新型コロナウイルスの散発的な感染拡大を理由に、2021年7-9月期のネット出前および旅行予約業務の予想売上高を下方修正しながらも、目標株価を据え置き、株価の先行きに強気見通しを継続している。

 これまで165日間にわたって調査を進めてきたSAMRは10月8日、独禁法違反行為の一つ、「二者択一」(利用事業者に他社との取引をしないよう迫る行為)などを理由に、同社に対する行政処分を最終決定。排他的契約に関連する12億8,900万元の保証金の返還を指示するとともに、34億4,200万元の罰金支払いを命じた。さらに向こう3年連続で、価格設定、アルゴリズムや、加盟店と配達スタッフの保護を目的とした報酬メカニズムに対する自己評価を義務付けるとの行政指導を行った。

 ただ、まだ完全に不透明感が払しょくされたわけではなく、以下のようなリスクが残る。【1】社会保険料の追加負担。2021年の出前取引数見通しに基づき、1注文当たり0.33-0.51元となる見通しだが、政策次第で、さらに負担が重くなる可能性がある。【2】2022年初めにも配達スタッフを対象とした労災保険に加入する計画。BOCIの予想では1注文当たり0.05元の追加コストが発生する。【3】データセキュリティー法に基づき、ユーザーが位置情報に基づくレコメンドを無効化することができるようにしたことが影響する可能性がある。ただ、BOCIによれば、地域生活サービスはもともとロケーションベースであり、この件による広告収入への影響は限られる見通しという。

 一方、国家統計局が発表した消費指標をみると、飲食売り上げは2021年7-9月期に入ってから減速傾向。8月には前年同月比4.5%の落ち込みとなった。BOCIは新型コロナの散発的な感染とマクロ経済の減速を理由に、同社の7-9月期のネット出前収入が前年同期比25%増に減速すると予想(4-6月期は同59%増)。店舗予約・ホテル旅行予約収入に関しては32%増を見込む(4-6月期は89%増)。

 また、BOCIが設定した7-9月の予想売上高は前年同期比36.7%増の484億元(前四半期比では10.6%増)と、市場コンセンサス予想を1.5%下回る水準。非GAAPベースの同期の予想純損失は53億元と、前四半期の22億元から拡大する見通しという。配達スタッフに対する夏場の追加補助金やホテル予約のトラフィック獲得に向けた投資、新規ビジネスの規模拡大に伴う損失の増大(主に共同購入サービス「美団優選」の損失)などが赤宇拡大見通しの理由。DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づく目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。