世界航空市況の回復に期待、ワクチン浸透と治療薬投入でコロナ収束が視野に

現地コード 銘柄名
02588

中銀航空租賃

(ビーオーシー・アビエーション)

株価 情報種類

69.00HKD
(10/11現在)

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 中国銀行(03988)傘下の航空機リース大手、中銀航空租賃は、新型コロナウイルス治療薬の開発の進展による代表的な恩恵銘柄の1社であり、世界保健機関(WHO)が新戦略で示したようにワクチン接種の進捗(しんちょく)も追い風となる。BOCIはワクチンの浸透と治療薬の実用化を受け、世界的なパンデミックが2022年下期にも収束する可能性を指摘。これに伴う航空業界の先行き見通しの改善とリスクプレミアムの縮小が、同社株の支援材料になるとの見通しを示した。株価の先行きに対し、強気見通しを継続している。

 WHOが先週明らかにした新たなワクチン戦略は3段階のアプローチを取り、まずは2021年末までに世界人口の40%がワクチン接種を終える。続いて2022年半ばまでにはこの割合を70%に引き上げる。そのためには少なくとも110億回分のワクチンが必要となるが、世界のワクチン月産量は15億回分に迫る水準に達しており、所要量の確保は十分可能という。

 また、治療薬開発も進行中。まずは米製薬大手メルクとリッジバック・バイオセラピューティクスが共同開発する飲み薬「モルヌピラビル」が、治験フェーズ3において、重症化リスクや死亡リスクの約50%の抑制効果を示した。この先、米国食品医薬品局(FDA)から承認を取得すれば、変異株感染の抑制が期待されるという。

 一方、IATA(国際航空運送協会)の9月のレポートによると、2021年10-12月期の世界の旅行需要は、コロナ前の2019年10-12月期を下回りつつも、前年同期比で堅調に推移する可能性が高い。航空業界全体の純損失は2021年に推定520億米ドルに上った後、2022年に120億米ドルに縮小する見込み。業界全体の売上高は2021年にコロナ前の57%相当、2022年には79%相当まで回復する見通しという。特にドル箱の欧州-米国路線の運航再開とオーストラリアの往来正常化(いずれも2021年11月)が、業界全体の回復を支える見込み。IATAは総合的に見て、ワクチンおよび治療薬の普及と有効性のほか、各国政府の支援が世界の航空市況の回復ペースを左右するとしている。

 BOCIは過去の例を参考に、航空業況の底打ちに伴う、航空機の置き換えサイクルの加速を予想。業界見通しの改善を反映させる形で、同社の2022年の予想純利益を7億2,100万米ドルから7億6,300万米ドルに増額修正した上で、2022年予想PBR(株価純資産倍率)1.2倍をあてはめ、目標株価を引き上げた。堅実なビジネスモデルを理由に、長期のROE(株主資本利益率)を15%と想定。1.2倍という目標基準は妥当だとしている。

 半面、レーティング面でのリスク要因となるのは、予想以上にパンデミックが長期化する可能性。仮にそうなれば、航空会社のキャッシュフローや同社リース事業のキャッシュインフロー、航空機の資産価値などに大きく影響する可能性を指摘している。