※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 [動画で解説]ふるさと納税「緊急支援品」「訳あり」に注目が集まる理由」
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「緊急支援品」が注目される理由
最近、ふるさと納税の返礼品に「緊急支援品」が増えています。楽天ふるさと納税サイトで「緊急支援品」と検索すると、7月27日時点で418件登録されています。
緊急支援品とは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で消費が大幅に落ち込んでいる外食業向けの高級食材などを「緊急支援品」として返礼品に提供するものです。
フードロス削減、生産者支援の観点に加え、返礼品の魅力が増していることもあり注目されています。
総務省は、2019年6月からふるさと納税の返礼品について「寄付金額の3割以内」「地場産品に限定」というルールを適用しています。
その結果、全国の自治体は「一定の金額で地場産品からいかに魅力的な返礼品を提供するか」を競う形となっています。
たとえば、1万円の寄付に対して3,000円を超えない範囲でいかに魅力的な返礼品を提供できるかを競うことになります。
緊急支援品には、コロナ禍での需要激減で生じた、一定期間内に販売できなければ廃棄を余儀なくされる可能性のある食材なども含まれます。
そうした食材は、価格が下落します。価格が下がった分、一定の金額内で返礼品として提供できる量が増える場合があります。それが、緊急支援品の魅力を高めています。
「返礼品は寄付額の3割以内」の意味
「返礼品は寄付額の3割以内」というルールについて、総務省は2019年4月1日付「ふるさと納税にかかる指定制度の運用についてのQ&Aについて」で、さらに詳しく説明しています。
「返礼割合を計算するにあたっての調達に要する費用とは、当該品物の原価、仕入れ値、定価ではなく、返礼品等の調達のために地方自治体が現に支出した額とすること」としています。
生産者に直接支払う金額ですから、調達コストは「小売価格」ではなく、「生産者の出荷価格」に近い価格になると考えられます。農産物の場合、生産者の出荷価格は平均すると小売価格の半分程度です。緊急支援品では、もっと低くなる可能性もあります。
したがって、返礼品が寄付額の3割以内とは言っても、それは生産者価格ベースでのことで、小売価格ベースで計算すると返礼割合が5~10割に達するものもあり得るのです。
「緊急支援品」と「訳あり」返礼品は何が違う?
従来ふるさと納税で人気を集めている返礼品に、「訳あり」があります。楽天ふるさと納税サイトで検索すると、現在2,000を超える返礼品が出ています。「訳あり」には、以下のようなものが含まれます。
【1】傷あり・傷もの
天候や商品特性による傷、収穫時についてしまった傷など、多少見た目は劣っても、品質は変わらないフルーツ・野菜・魚介類などが返礼品として提供されます。
【2】規格外
大きさ・サイズや形状が定められている基準に当てはまらないものを規格外として、返礼品に提供されます。
【3】不ぞろい
形や部位が不ぞろい、サイズが不統一、などの理由で店頭に並ばない食材を、返礼品として提供するものです。
いずれも流通市場に出せない、あるいは出しても著しく価格が低くなるような品物です。味や品質は変わらないのに価格が低くなることが多く、ふるさと納税の返礼品として「量を多めに入れられる」場合があります。
「緊急支援品」と「訳あり」は、似たコンセプトです。ただし、厳格な使い分けがあるわけではないので、1つの返礼品が、「訳あり、緊急支援品」と両方の分類に入っている例もあります。いずれも、フードロス削減・生産者支援に加え、支援品としての魅力の高さから注目されることがあります。
ここまで、「緊急支援品」「訳あり」について、説明しました。
以下、ふるさと納税の仕組みをよくご存じない方のために、制度概要を解説します。