冬物衣料のピーク期到来、高付加価値化戦略で新たな成長局面入り
現地コード | 銘柄名 |
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03998 |
波司登国際控股 (ボスドン・インターナショナル) |
株価 | 情報種類 |
6.50HKD |
株価 企業情報 チャート |
冬物商戦を間近に控え、BOCIは中国のダウン衣料最大手、波司登国際が、再び市場の注目を集めるとみている。また、今後のマーケティングキャンペーンと足並みをそろえ、製品のプレミアム化が進むとの見方。国内の小売消費が伸び悩む中にあっても、相対的に好業績を維持するとみて、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。
中国のアパレル業界は豪雨被害や局地的な新型コロナウイルス・デルタ株の感染拡大により打撃を受けたが、BOCIによると、同社の小売りビジネスは同業他社と比べ、マイナス影響を小幅に抑えたもよう。また、国内外(海外では特にベトナム)でのダウン衣料の生産活動についても、大きな悪影響は報告されなかった。欧米の小売市場が通常営業を再開する中、同社のOEMビジネスは成長を維持する見通しという。
ダウン衣料を主力とする同社にとって、ピークシーズンは例年11月頃に始まる。これに先立ち、中国のホリデーシーズンである10月にはメディアへの露出が増え、注目度が高まる見込み。BOCIはこのタイミングでの新店舗の開設とマーケティングキャンペーンに期待している。2021年3月本決算の発表時に予告した通り、ピークシーズン向けの新たなキャンペーンがスタートすれば、特に若年層の間でブランド認知度が高まるとの見方だ。また、国営メディアがダウンジャケットの海外有名ブランドであるカナダグースを批判したことも(中国子会社による虚偽広告疑惑)、国内有力ブランドである波司登国際にとっては相対的なブランドイメージの向上という点で、追い風となる可能性が高い。
一方、同社の高付加価値化路線は盤石とみられる。2022年3月期には販路構成のアップグレード戦略を進める計画であり、大都市部を中心に、特に高級ショッピングモールへの出店を増やしつつ、店舗総数をほぼ前年並みとする見込み(ダウンウエア店舗数は2021年3月期に4,150店)。国内経済の減速という逆風にもかかわらず、BOCIはこの戦略の有効性を前向きに評価し、国内外の競合他社から市場シェアを獲得する可能性を指摘している。
BOCIが新たに設定した2022-2024年度の予想EPS(1株当たり利益)は0.20元、0.25元、0.28元であり、2021-2024年度の年率平均で21.7%増。2023年予想PER(株価収益率)24倍をあてはめ、目標株価を引き上げた(5年間の平均フォワードPERは20倍)。
一方、この先のレーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、デルタ株の散発的な感染拡大による消費への影響や、市場競争が激化する可能性、新製品投入ペースが予想を下回る可能性、新たな経営戦略下でコスト比率が上昇する可能性などを挙げている。