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センス欠く米財務・金融当局の「対策」
堀古 英司
ウォール街から~米国株の魅力~
ニューヨークのヘッジファンド運用マネジャーである堀古英司氏による週刊レポート。単なる分析にとどまらず、出来るだけ「裏を読む」という観点で米国経済、市場についてお伝えするコーナーで…

センス欠く米財務・金融当局の「対策」

2008/10/10
ニューヨークのヘッジファンド運用マネジャーとして活躍する堀古英司氏による米国市場レポート「ウォール街から~米国株の魅力~」。お客様の投資のヒントにお役立てください。
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「合意に達していないのに、合意に達したように見せかけるのに米財務省は苦労していますね」---9月29日月曜日朝、東京にいた私はブルームバーグTVに出演させていただく機会があり、このように申し上げました。米財務省はそれまでも議論されてきた不良資産買取構想を、金融安定化法案として9月19日、大々的にマスコミ発表、議会が終了する翌週までの成立を目指しました。もともとそれほど効果が見込めない案である上に、7000億ドルにも上る法案を一週間で議会通過させるなど至難の業です。日本時間29日月曜朝になって「金融安定化法案 大筋合意」という文字をニュースで見た瞬間、これはダメだ、と思いました。週末を越えてまだ「大筋」という文字が入っているという事は、合意に達していない事を強く裏付けるものでした。案の定、その後法案は29日NY時間午後に下院で否決され、ダウは史上最大幅となる777ドルの下落を記録する事になったのです。

前号でも書かせていただいた通り、最近の米財務・金融当局には、アメリカらしくない「対策」が目立ちます。空売り規制など、一回だけの株価上方シフトは見込めますが、その後には市場の流動性低下という致命的な影響を残します。実際、空売り規制が実施されてからの株価の値動きはひどいものです。空売り規制実施からこれまで14営業日のダウの動きは1営業日平均300ドルにも上っています。しかも空売り規制が実施されてからダウは今日までで20%近く下落しています。投資家は「いざとなったらいつでも売れる」という安心感があるからこそ株を買うのであって、流動性がなくなってどこで売れるか分からない市場に投資家は参加しません。成績を上げるにはコツコツ勉強するしかないのです。勉強をしないで、付けられた点数が気に入らないからといって成績表を書き換えようとすると、必ず後で大きなツケを払う事になります。今後、再び空売り規制が検討されるような事があった場合、これまで様々な空売り規制が市場に与えた悪影響から、如何に逆効果の愚策であるかを学び、同じ過ちをしないようにしてもらいたいと思います。

そして今日、世界協調利下げなるものが実施されました。現在FF金利は2%にまで低下しており、利下げの「糊しろ」は2%しかありません。この辺の金利水準になってくると、市場は利下げを好感するというよりも、糊しろがなくなってきている事を逆に嫌気するリスクがあります。それを気にしたのでしょう。連銀単独でなく、世界の中央銀行を巻き込んで協調利下げという奇策を取りました。しかし外科手術が必要な患者に風邪薬を与えても効き目はありません。市場はすぐに金融当局の苦しさを見透かす結果となりました。巻き込まれた他の中央銀行は「糊しろ」が減って気の毒に思うくらいです。

このような一連のセンス欠く米財務・金融当局の対策によって市場は当局に対する信頼を失いつつあるように見えます。結局今のところ、市場が自分の力で反転する点を見付けさせる、即ち市場参加者の多くがリスクを覚悟の上で十分安くなったので買いたい、と思えるようになるのがベストという事でしょう。

講演等で申し上げてきた通り、私はそもそも、10月半ばに一旦底が見えるのでなないかと考えてきました。当局の対策などなくても、1.明日空売り規制の解除によって株価は下落するだろうが、市場の流動性は徐々に回復してくる 2. 来週大手金融機関の決算発表が終わる、という2つの点でリスクプレミアムの低下が期待できるからです。そう考えると、やはり来週一旦底を見る可能性は高まっているように見えます。

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