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モノライン危機を巡る誤解
堀古 英司
ウォール街から~米国株の魅力~
ニューヨークのヘッジファンド運用マネジャーである堀古英司氏による週刊レポート。単なる分析にとどまらず、出来るだけ「裏を読む」という観点で米国経済、市場についてお伝えするコーナーで…

モノライン危機を巡る誤解

2008/2/28
ニューヨークのヘッジファンド運用マネジャーとして活躍する堀古英司氏による米国市場レポート「ウォール街から~米国株の魅力~」。お客様の投資のヒントにお役立てください。
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本コラムで書かせていただいてきた通り、モノライン大手2社(MBIA、アムバック)は昨年春、私が運用するファンドで「モノライン問題の本命」として空売りを実行した会社でした。それから一年近くが経ち、この金融保証会社やモノラインという言葉も広く使われるようになりましたが、一部報道には誤解も生まれるようになっていると思います。そこで今回はその誤解についてコメントしておきたいと思います。

誤解1. モノライン危機はサブプライムに次ぐ新たな問題である

結論から申し上げると、新たな問題ではなく、サブプライム問題の本命の一つだと思います。また今回の問題は厳密に言えば、サブプライム問題というよりも、CDO(債務担保証券)などの仕組金融バブルの崩壊です。第207回 AAA債券、実はジャンク債? (2007年11月13日)で解説させていただいた通り、投資家が民間会社の最高格付けAAAを妄信して投資していたのも問題だと思いますし、一方の仕組金融商品発行に関わる業者、即ち住宅ローン専門会社から銀行、証券会社、格付け会社、モノライン等が結託してこのような商品を作り上げていたのも問題だと思います。影響はやはりこの関係者に表れるはずで、住宅ローン専門会社は2007年初めに多くが破綻に追いやられましたし、銀行や証券会社は2007年後半から巨額の評価損を計上するようになりました。同胞であった格付け会社とモノラインの関係は最近上手くいっていないらしく、ここに来てモノラインの格下げが危ぶまれているという状況です。確かにこの一連の危機の中で、市場がモノラインの問題に気付くまでにはかなりの期間を要しました。しかし私はもともとモノラインが本命と考えていましたので、ようやくこの段階に辿り着いたか、という感じがしています。なので市場が騒ぎ始めたという点では新しいトピックに見えるかもしれませんが、実は今回の問題の本質だった、というのが実際の所だと思います。

誤解2. モノラインは近々破綻する

モノラインは金融保証会社と呼ばれますが、厳密には「債券保険会社」です。債券の元利払いが滞った場合に代わりに支払うのが債券保険会社の役割です。なので、例えば金利が8%の1億ドルの債券を保証していて、支払いが滞った場合に支払わないといけないのは1年間に800万ドルであって、直ちに1億ドル支払わなければならないのではありません。しかもモノラインは保険会社ですから、支払いに備えた資産を保有しており、その資産から年々運用益が生まれますし、保険料も入ってきます。我々の計算では、仮にモノラインがトリプルAの格付けを失い、今後ビジネスが殆どなくなったとしても、過去の契約から来る保険料と保有している資産の価値は現在の時価総額を上回る計算になります。実際、私が運用するファンドで70ドル近辺から空売りしていたモノライン最大手のMBIAにおいては10ドル以下は行き過ぎの計算になるため、すでに全て10ドルで買い戻しを実行しました。今、問題はモノライン自体の去就ではなく、モノラインの格下げと同時に格下げされる世界中のトリプルA債券の評価損が金融機関や投資家に与える影響の方です。クレジット市場は今年に入って更に悪化してきており、2月末時点で価格的には最悪の状況となっています。このような中、私が心配しているのは、すでに巨額の損失を計上し、また今後更に計上すると見られている米国金融機関よりも、恐らくそこまで問題が織り込まれているとは思えない日本・欧州の金融機関が今後明らかにしてくるであろう評価損の方なのです。

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