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モノライン救済策、実はモノライン処理策
堀古 英司
ウォール街から~米国株の魅力~
ニューヨークのヘッジファンド運用マネジャーである堀古英司氏による週刊レポート。単なる分析にとどまらず、出来るだけ「裏を読む」という観点で米国経済、市場についてお伝えするコーナーで…

モノライン救済策、実はモノライン処理策

2008/2/14
ニューヨークのヘッジファンド運用マネジャーとして活躍する堀古英司氏による米国市場レポート「ウォール街から~米国株の魅力~」。お客様の投資のヒントにお役立てください。
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最近、「モノライン救済策」に関する報道をよく目にするようになりました。モノラインの最高格付け、トリプルAが引き下げられれば世界中の債券の価値が低下し、金融機関や機関投資家は更なる損失計上に追い込まれ、金融不安が広がる可能性があります。このような事態を防ごうと、最近になってNY州保険局が乗り出したり、ウォール街の大手金融機関が集まって対応策を話し合ったり、著名投資家ウォーレン・バフェット氏が地方債の再保証を提案したり、という動きが立て続けに起こっています。一般にこれらはモノラインの救済策と捉えられているようです。しかし実際のところ、これらは救済策ではなく「処理策」なのです。

このコラムで昨年から度々書かせて頂いてきた通り、今回の問題は住宅ローン問題というよりも、CDO(債務担保証券)などの仕組金融バブルの崩壊であり、その本命の一つがモノラインなのです。それではモノラインを救済すればこの問題は解決するのかというと、それは違います。というのは、仕組金融の世界はバブルだったのであり、このバブルはもう弾けているからです。弾けてしまった後のものはもう膨らみません。あとはそれをどう処理するかを考えるしかない、現在のモノラインを巡る環境はそのような状態だと思います。

「処理」にあたって利害関係者は大きく、(1)モノラインの株主と(2)モノラインが保証する債券を保有している投資家に分けられます。例えば(1)に配当を払ってしまえば(2)に支払う資本が減少します。保険当局の仕事は保険加入者、この場合は(2)を守る事なので資本を補強しておきたい所です。しかし(2)ばかり保護していると、モノラインに資本を入れる投資家(1)が現れません。このようなジレンマの中、保険当局はここ数週間、各方面で調整を続けてきたようです。一方、大手モノラインであるMBIAとアムバックは2四半期連続の大赤字で、このような状況下トリプルAを維持していると格付け会社の信用は更に失墜します。何も対策が打たれない場合、大手モノラインは今月中にもトリプルAを失う可能性が高いと言われています。

バブルは崩壊してしまったのですから、有効な「救済策」はありません。後はこのような状況の中で、どのような「処理策」があるかです。そこで現在有力になっているのは、モノラインを、公共性の高い地方債の保証する会社と、その他の債券を保証する会社を分割する案です。上記の例で言えば、(1)と(2)の両方を立てる処理案はないとの結論に達し、その上で(2)の中でモノラインが保証する地方債を保有している投資家のみを保護しようという事です。これはモノラインが保証する全体の債券のうち約3割のみの話です。ウォーレン・バフェット氏が再保証を提案したのも、実はこの約3割についてのみなのです。

これは(1)、(2)から地方債を保有する投資家への利益シフトを意味します。即ち、地方債ビジネスを除くモノラインと、地方債以外を保有する投資家にとっては、今後更に厳しい局面が予想されるという事です。別の見方をすれば、もともとバブルが崩壊して壊滅的な状況となる所を、地方債だけでも保護されて良かったと考えるしかないのかもしれません。近々発表され、報道されるであろう「モノライン救済策」は、実は市場が好感するにはほど遠い「モノライン処理策」だという事です。

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