2021年中間決算は12%増益、不良債権比率は1.50%に改善

現地コード 銘柄名
01288

中国農業銀行

(アグリカルチュラル・バンク・オブ・チャイナ)

株価 情報種類

2.61HKD
(8/31現在)

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 中国3位の国有商業銀行、中国農業銀行の2021年6月中間決算は、純利益が前年同期比12.4%増と、BOCIの予想を上回った。貸倒引当金の計上額が予想より小幅にとどまったことが予想上振れの主因となった。6月末時点の資産、負債、貸出、預金は2020年末比で、それぞれ5.3%増、5.6%増、9.0%増、7.6%増。スケールメリットの拡大により、引当前の業務純益(営業利益に相当)は前年同期比7.7%増だった。同行は厳格な不良債権の計上方針を維持しており、不良債権引当カバー率(不良債権に対する貸倒引当金の比率)は引き続き、4大国有商業銀行の中で最も高い水準。BOCIは株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 資産の質は安定的で、6月末の不良債権比率は1.50%と、前年末の1.57%から改善。不良債権引当カバー率は6月末に274.5%と、前年末の260.6%から上向いた。要注意先債権は1.57%で、これも前年末の2.01%から改善している。また、不良債権に占める延滞債権の比率は73.7%と、前年末から8.7ポイント低下し、同業銘柄の中では相対的に低水準だった。

 純金利マージン(NIM)は上期に2.12%と、2020年比で0.08ポイント縮小した。4大国有商銀の一角としての役割を果たすため、実体経済向け、農村開発向けの金融支援を強化したためで、主に収益資産(IEA)の利回りの低下と負債コストの増大が響いた。IEAの利回りは上期に3.69%と、2020年通期比で0.06ポイント低下している。なお、中国政府が力を入れる「インクルーシブ・ファイナンス」(中小零細企業向け金融サービス)カテゴリーに属する同行の中小企業向け融資残高は6月末時点で1兆2,400億元に達し、前年末から30.4%増。上期の中小企業向け新規融資の平均金利は4.09%と、前年から0.09ポイント低下した。

 一方、役務取引等利益(純手数料収入)は上期に前年同期比8.8%増。代理業務手数料やコンサルタンシー・アドバイザリー手数料、eバンキングサービス手数料などの伸びが寄与し、2020年通年の前年比3.3%を上回るペースとなった。その結果、役務取引等利益が経常収益(売上高)に占める割合は13.1%と、前年通期の11.3%を上回る水準に達している。

 BOCIは、H株の現在株価が2021年予想PBR(株価純資産倍率)で0.37倍にとどまるとし、配当利回りが2021年に9.5%に達する可能性にも言及。資産の質の安定感やROE(株主資本利益率)の堅調、魅力的な配当利回りを考慮すれば、現在株価は過小評価されていると指摘している。2021年のROAE(平均株主資本利益率)に関する予想は11.7%(2020年実績は11.4%)。2021年予想PBR0.6倍をあてはめて目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。