2021年4-6月期は38%増益、下期以降は新製品ビジネスの進捗が焦点に

現地コード 銘柄名
01093

石薬集団

(CSPCファーマスーティカル)

株価 情報種類

10.04HKD
(8/27現在)

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 中国の医薬品メーカー、石薬集団の2021年4-6月期決算は、売上高が前年同期比10%増の70億8,900万元。販売費の増大などから営業利益はほぼ横ばいだったが、金融資産評価益の計上が寄与し、純利益は同38%増の15億9,100万元に達した。BOCIは目標株価を小幅に引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 主力製品の急性脳梗塞治療薬「恩必普」(NBP:ブチルフタリド)の売上高は、1-3月、4-6月にそれぞれ15億7,700万元、15億1,600万元だった。BOCIの計算では、NBPを使用している患者の数は、1-3月、4-6月に前年同期比31%増、63%増。「国家医療保険償還医薬品リスト」(NRDL)への採用に伴う3月21日付の値下げを受け、販売数量ベースでは大幅増を記録した可能性が高いという。続く7-9月、10-12月も数量ベースの伸びが続くとみられ、BOCIはNBPの通期売上高を66億6,000万元と予想している(前年実績65億7,400万元)。同社経営陣も前年比でのプラス成長を見込む。

 抗がん剤部門では、「多美素」「津優力」「克艾力」が4-6月期にそれぞれ前年同期比44%、32%、18%の増収を確保した。経営陣によれば、抗がん剤の売上高は2021年通期に前年比30%超の伸びを示す見込み。営業チームのカバーエリアが大都市部から中堅都市部に拡大したためで、省都クラスの主要都市での抗がん剤売り上げが全体の60-70%、その他の都市部が残り30-40%を占める見通しという。経営陣はこのほか、がん治療の過程で用いられる侵襲性真菌症治療薬アンホテリシンBについて、2021年に1億元超の売り上げを予想。末梢性T細胞リンパ腫治療用のミトキサントロン塩酸塩リポソームについては、発売1年目に3億元超えを見込んでいる。

 一方、新規ビジネス分野では、年初からこれまでに、EGFR(2022年発売予定)、IL-4Ra(2025年発売予定)、HER2二重特異性抗体(2024年発売予定)を対象としたライセンスイン取引3件を完了した。2021年下期にはさらに3件、2022年には4件の取引をまとめる計画。中枢神経系、がん(腫瘍)、心臓血管系、自己免疫疾患、眼科系、細胞治療という、6つのコア治療領域に重点的に取り組む。

 BOCIはDCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づいて目標株価を小幅に引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを据え置いた。現在株価は2022年、2023年の予想PER(株価収益率)で19倍、17倍の水準にあるとしている。一方、レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、パイプライン(製品候補)の進捗が予想以上にスローペースとなる可能性と、NBPの販売回復が予想より鈍いペースにとどまる可能性――を挙げている。