2021年中間期に好決算達成、貨物輸送需要と越境ECの拡大が追い風に
現地コード | 銘柄名 |
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00598 |
中国外運 (シノトランス) |
株価 | 情報種類 |
3.18HKD |
株価 企業情報 チャート |
中国のフォワーダー最大手、シノトランスの2021年6月中間決算は、売上高が前年同期比55.4%増の616億7,600万元に達した。越境ECや海運・航空貨物事業の好調が背景。また、合弁会社シノトランス-DHL社の好決算を背景に、投資収益は同99.1%増とほぼ倍増の勢い。全体の調整後純利益は68.8%増と、経営陣が事前に示した通りの数字となった。BOCIは海外での需要回復や新型コロナ・デルタ株に起因する一部海外でのサプライチェーンの混乱により、下期も中国の輸出が好調を維持し、運賃相場も比較的高水準で推移すると予想。こうした点から、同社のフレイトフォワーディング(他社の運送手段をアレンジして荷主から預かった貨物の運送を引き受ける)業務やEC業務の好決算と、ロジスティクス(総合物流)ビジネスの安定的な発展を見込む。目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。
部門別にみると、ロジスティクス事業は4-6月に回復傾向が鮮明となり、上期に前年同期比37.3%の営業増益を達成した。コントラクトロジスティクス(荷主企業が第三者に物流業務を委託するアウトソーシング)でニッチ市場の開拓に注力し、新エネルギー車や半導体分野で新規顧客を獲得した。一方、越境取引の急成長の波に乗り、ECビジネスの売上高と営業利益は、上期にそれぞれ前年同期比192.8%増、69.5%増。経営陣によれば、安価な輸入品の比重拡大で純利益率は低下したが、長期的にはエンドツーエンドの物流サービスの拡大で、利益率は安定化あるいは改善する見通しという。
2021年下期もフレイトフォワーディング業務とEC業務の好調が続く見込み。経営陣は2021年下期、さらには2022年上期にかけ、貨物運賃が相対的に高水準で推移すると予想。海運会社や航空会社との連携を通じ、事前に輸送キャパシティーを確保することで、スムーズなオペレーションが可能になるとしている。
BOCIは貨物運賃が予想以上に長期的に高止まりする見通しを反映させる形で、2021年、2022年の予想売上高をそれぞれ16.5%、10.6%増額修正。さらに、投資収益の上振れと費用対売上高比率の低下を織り込み、2021年、2022年の調整後純利益見通しを19.1%、17.0%増額修正した。
また、コア利益ベースで2022年予想PER(株価収益率)7.5倍をあてはめ、目標株価を上方修正。株価の先行きに対して強気見通しを継続した。7.5倍との数字は5年間のフォワードPERのヒストリカル平均値。2022年予想配当利回りは6.7%の魅力的な水準にあるとしている。
一方、今後のレーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、◇政治的理由や世界経済の鈍化により、中国の輸出入が予想外に伸び悩む可能性、◇越境ECが予想以上に低迷する可能性――などを挙げている。