2021年中間決算は予想上振れ、生産量の伸びや探査の好成績を高く評価

現地コード 銘柄名
00883

中国海洋石油

(CNOOC)

株価 情報種類

8.11HKD
(8/20現在)

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 中国の石油業界3位、CNOOCの2021年6月中間決算は、純利益が前年同期実績の3.2倍に当たる333億元に達し、BOCIの予想を9%上回った。上期の生産量の伸びと強力な新規プロジェクトの貢献で、2021年通期では生産目標を達成、あるいは上回る可能性が高まっている。BOCIは厳格なコスト管理の継続や探査の好成績といった点でも、同社を高く評価。中間決算発表後に、2021-2023年の利益見通しを2-10%増額修正した。「OPECプラス」(石油輸出国機構の加盟国と非加盟産油国で構成)が依然、原油供給量を厳しく抑制していることから、BOCIは原油価格を受けた同社株価の最近の調整は買いチャンスにつながるとの見方。株価の先行きに対し、強気見通しを継続している。

 2021年上期の純利益がBOCIの予想を上回ったのは販売費と一般管理費が予想より低く抑えられたため。上期の石油・ガス生産量は前年同期比8%増の2億7,810万BOE(石油換算バレル)と、経営陣の通期見通し(5億4,500万-5億5,500万BOE)の50-51%相当だった。上期には新規プロジェクト6件が稼働したが、下期にはさらに13件が始動する見込み。仮にプロジェクトが全てスケジュール通りに動き出し、7-9月の台風被害が限定的であれば、2021年通期の生産量は目標を上回る可能性が高いという。

 営業費用と全て込みの費用(オールインコスト)は2021年4-6月期にそれぞれ前年同期比12%、13%増加したが、これは対米ドルでの人民元高が一因。単位当たりコストは引き続き、コロナ前の19年上期を1-2%下回る水準だった。

 上期には中国オフショアで7つの鉱床を発見し、石油・ガス層14カ所の構造の評価に成功した。さらに25%を保有する南米ガイアナStabroek鉱区では、PSC(生産物分与契約)パートナーが新たに2カ所を発見。これにより、同鉱区の石油・ガス可採埋蔵量は90万BOEを超えた。

 上期の設備投資は前年同期比わずか1%増の360億元。ただ、下期には新規プロジェクト13件が完了する見通しであり、経営陣は2021年通期の設備投資予算を前年比13-26%増の900億-1,000億元に据え置いている。

 一方、CO2排出削減への取り組みとして、同社は石油・ガス生産量に占める天然ガスの割合を現在の約20%から、25年には35%に引き上げる方針。さらに、洋上風力発電事業への投資を強化する計画。2020年後半には第1号プロジェクトが稼働した。

 現在株価は2021年の予想PER(株価収益率)で4.3倍、予想配当利回り8.1%という魅力的な水準にある。BOCIは利益見通しを増額修正する半面、「Form 20-F」(米SEC提出書類)を用いて利益モデルを見直し、SOTP(サムオブザパーツ)方式に基づく予想NAV(純資産価値)を12.60HKドルから12.32HKドルに修正。これに伴い目標株価を引き下げたが、株価の先行きに対しては強気見通しを継続している。