THE S&P 500 MARKET: 2021年5月

 5月の株式市場は、月初は最高値を1回更新するなど上昇基調が続いたものの、その後は数回にわたって相場のムードが変化しました。米国経済がまもなく全面再開するとの期待を背景に、上旬は「ニュースを広げよう」(「ニューヨーク・ニューヨーク」の歌詞)、あるいは「今、この時この場所から伝えよう」(ジョン・F・ケネディの演説)といったムードが広がりました。

 しかし、インフレ率や商品価格の上昇といった要因が上昇基調に歯止めをかけ、市場の雰囲気は「株式市場にキスをして別れを告げよう。金融緩和政策と景気対策が続くことを夢見ながら。我々は大きな儲けを手にした。利益を得るためにこれまでやってきたことを忘れはしないし、後悔もしない」(「愛した日々に悔いはない(コーラスライン)」の替え歌)と口ずさんでいるかのように変化しました。

 その後、市場は落ち着きどころを模索する動きを見せ、ハムレットさながらに「マスクを着けるべきか、外すべきか。それが問題だ。ビジネスモデルとしてはどちらが高貴な振る舞いと言えるのだろうか。(一部の)理不尽な顧客、政治家、従業員からの訴訟や批判に耐え忍ぶのか、それとも投資資金の向かう先は絶えず変わる可能性があるとしても、川の流れのように資金を企業に回すために道を切り開くべきなのか」と考えながら、落ち着き所を探る展開となりました。

 保有銘柄の入れ替え売買の継続、利食い売り、大損を恐れての抜け駆け的な売買、さらには新型コロナの先行きに対する楽観論や旺盛な個人消費を手掛かりに、市場は適正水準を探る動きに終始しました。

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