※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 [動画で解説]「ESG」が株価に大きく影響する時代に 既存のESGファンドは玉石混交」
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ESG重視が時代の流れに
欧州の年金基金は、投資先企業を選別する際にESGスコアを重視します。ESGスコアとは、非財務情報の中核と考えられているEnvironment(環境)・Social Responsibility(社会的責任)・Governance(ガバナンス)の3項目を数値化したものです。
これに対して、日本では数年前までESG投資は不人気でした。当時の投資家の声を総合すると以下のようになります。「いくら社会的責任を立派に果たしている企業であっても、株価のパフォーマンスが良くなければ投資家として積極的に投資する気にはならない」。
ところが、近年風向きがはっきり変わりました。日本では年金基金など機関投資家が、株式運用をする上でESGスコアを重視するようになりました。投資信託でも、ESGを重視するファンドが個人投資家に人気を博し、大きな金額を集めるようになりました。
なぜでしょう? パフォーマンス(運用成績)を犠牲にしてでもESGを重視すべきだと考える投資家が増えたということでしょうか? そうではありません。パフォーマンスを重視する投資家が、パフォーマンスを高めるためにESGを重視せざるを得ない時代になったからです。
ESGで問題を起こした企業の株価暴落が頻発し、ESG無視で高パフォーマンスをあげるのが難しいことに機関投資家は気づいています。また、ESGで高スコアの企業の株価が継続的に市場をアウトパフォームするようになり、機関投資家ではESGを専任に分析するアナリストを置くところが増えてきています。