10月13日の金曜日、日経平均株価はアベノミクス相場の最高値だった2万952円を超えました。1996年以来21年ぶりの高値水準になります。
しかし、この勢いだけを鵜呑みにしていては成果が出ないのが今の日本株。そこで日本株を分解して個別銘柄を見ていきましょう。
日経平均株価がアベノミクス相場開始後の高値を突破!
北朝鮮のミサイル発射、衆議院解散・総選挙による政治のゴタゴタなどにより伸び悩むとみられていた日経平均株価は、あっさりと2万1,000円台に突入し、1996年以来21年ぶりの高値水準になりました。
これでテクニカル分析上は、2015年につけた高値を抜けて、新たな上昇ステージに入ったことになります。
ここからどこまで値を伸ばすかは誰にもわかりませんが、強気の人からは、日経平均株価3万円超えとか、バブル高値を超えて4万円に達するなどという気の早い声も聞こえてきます。
セオリーで考えると、1つの長期上昇相場は5つの波動で形成されます。
・2012年11月から2013年12月:上昇第1波
・2013年12月から2014年4月:調整第2波
・2014年4月から2015年6月:上昇第3波
・2015年6月から2016年6月:調整第4波
・2016年6月から~:上昇第5波
となり、現在は長期上昇相場の総仕上げの局面にいることになります。
「21年ぶりの高値水準」にも不思議と冷静な投資家たち
ところが、日経平均株価が21年ぶりの高値水準に達したにもかかわらず、投資家たちは冷静です。アベノミクス相場初期のような、お祭りムードの盛り上がりはまったく感じられません。
実は筆者も、「日経平均株価21年ぶりの高値」と聞いてもあまり感動を覚えませんでした。
なぜ投資家の多くが冷静なのでしょうか。それは個別銘柄の動きが日経平均株価の動きと異なっているからです。
もし日経平均株価と個別銘柄の動きがおおむね一致していれば、日経平均株価と同様、数多くの個別銘柄も21年ぶりの高値水準に達していることになります。
しかし実際は、日経平均株価と同じような値動きをしている個別銘柄はほとんどないのが実態です。
個別銘柄の株価を21年前と比較
そこで個別銘柄の現在の株価を、21年前である1996年と比較してみることにしましょう。
1996年 | 2017年 | |
---|---|---|
ANAホールディングス(9202) | 12,000円 | 4,400円 |
シャープ(6753) | 19,400円 | 3,600円 |
三井住友FG(8316) | 21,000円 | 4,300円 |
株価は概算値 |
このように、21年前と現在の株価を比較すると、現在の方がはるかに低い銘柄が数多くあります。
でも一方で、以下のような動きになっている銘柄も数多くあります。
1996年 | 2017年 | |
---|---|---|
ブリヂストン(5108) | 2,000円 | 5,300円 |
武田薬品工業(4502) | 2,000円 | 6,000円 |
ニトリホールディングス(9843) | 500円 | 16,000円 |
株価は概算値 |
ブリヂストンは2.5倍、武田薬品工業は3倍、ニトリホールディングスに至っては30倍以上になっています。
この事実から見えてくるのは、
(1)株価が下落している銘柄は、アベノミクス相場スタートから5年経過している
にもかかわらず株価が上昇していない
(2)株価が上昇している銘柄は、今回日経平均株価が21年ぶりの高値水準をつける
よりもっと前から大きく上昇していて、バブル時の高値を超えたものも少なくない
というものです。
結論:個別銘柄に投資するなら日経平均株価はあまり気にしない
このように、個別銘柄ごとに株価の動きはまちまちであることがわかります。この傾向は、特にアベノミクス相場がスタートしてから顕著になったように感じます。
筆者は株式投資歴約20年ですが、一昔前までは、もちろん銘柄ごとに値動きの大きさは違うものの、株価が動く方向性はどの銘柄もほとんど同じでした。ですから、日経平均株価が上がれば個別銘柄も上がり、日経平均株価が下がれば個別銘柄も下がったのです。
しかし、アベノミクス相場後は、増収増益が続いている成長株ほど日経平均株価の水準にかかわらず株価が大きく上昇し、それ以外の銘柄は日経平均株価が上昇しようがほとんど上がらなくなっています。
つまり、日経平均株価の水準がどうであろうと、上がる株は上がり、上がらない株は上がらないのが今の日本株の状況です。
必要なことは、日経平均株価が2万1,000円の水準から2万5,000円、3万円に達しようとも、逆に15000円まで値下がりしようとも、株価が上昇しやすい好業績の銘柄を中心に銘柄選びをして投資をすることです。
もちろん、今後は今まで株価が上昇しなかった銘柄が「出遅れ」として上昇する場面が来るかもしれません。でも、そうした銘柄に投資して、いつ来るか分からない上昇局面をじっと待つのでは資金効率が悪いです。
筆者は、好業績の銘柄が上昇トレンドにある限りはそちらを中心に投資し、出遅れ銘柄については明確な上昇トレンドに転じたら、その時にシフトすればよいと考えます。