THE S&P 500 MARKET: 2020年12月

 個人的見解を述べると、筆者はただの計算屋です。点と点を結び、何らかの見解をまとめ、将来起こり得るシナリオを統計に基づいて提示しているつもりですが、マーク・トウェインが述べたように、嘘には「普通の嘘、真っ赤な嘘、そして統計」の3種類があります。

 新型コロナウイルスの感染状況、治療法、消費者や企業の反応、また政策対応の影響(財政、ウイルスに対する認識と共に)に関する予想は他の専門家に任せるつもりですが、統計は、これまで43年以上にわたり当社で見てきたように、私たちが予想利益に多くの対価を支払っていることを示しています ―― たとえ予想通りの利益が達成されるとしても。具体的には、2021年は治療法が確立されて感染拡大やそれに伴う経済閉鎖の影響が十分に抑えられ、過去最高に達すると予想(営業利益のコンセンサス予想)されていますが、それでも予想PERは23倍となっており、過去12カ月の利益に基づくPERは30倍です。過去最高益が実現したとしても、1年先にPER 23倍という結果を当社は予想しておらず(予想の場合は大幅に低い数字にはならないものですが)、プレミアムの多くが異例であることの根拠となっています。おそらくコロナ後のニューエコノミーがそれを証明するでしょう。計算屋の筆者は足元のデータに執着し過ぎているのかもしれません。従って、経済情勢やイベントを踏まえると素晴らしく見える水準を正当化して設定する役目は、市場に任せることにします。

 S&P500指数は、2020年2月19日にコロナ前の終値ベースの最高値(3,386.15)を付けて以降、終値ベースの過去最高値を20回更新し(3,756.07の最高値で年を終えるまで年初来で33回最高値を更新。最高値で年末を終えたのは1928年以降8回目)、コロナ前の高値から10.92%上昇、年初来で16.26%上昇(配当込みで18.40%上昇)して2020年を終えました。ちなみに、2019年の上昇率は28.8%(同31.49%)でした。素晴らしいとしか言いようがありません。

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