矢継ぎ早に決まった10月22日の衆議院の解散総選挙。今回は選挙と株価の関係をみていきましょう。

 

「衆議院の解散・選挙」の日経平均の騰落率の関係性

 まず、「衆議院の解散・選挙」の日経平均の関係性を探ります。過去、衆議院解散を発表してから投票日翌日までの日経平均株価は上昇するケースが多くありました。

 次の表は、騰落率を順位付けしたものです。

衆議院解散発表から投票日翌日までの日経平均株価の騰落率

選挙期間中とは解散発表から投票日翌日までの期間

 確かに過去10回の解散・選挙時の選挙期間中の中で7回株価は上昇しています。その特徴は2005 年(郵政解散)、2012年(民主から自民への政権交代)、2009年(自民から民主への政権交代)に見られるように、大きな変革時に発生する傾向だとわかります。

 逆に、1996 年、2014年、2003年など、解散前に株価がすでに上昇していたケースでは、結局下落するという結果に終わっています。今回の選挙では、現在までに大きな改革の可能性は見えず、株価だけが上昇しているようです。今のところ、このパターンは下落に終わったものと同じです。

 ただし、もしも自民党がプライマリー・バランス(財政の基礎的収支)の改善目標を一時棚上げし、より一層の景気回復に努めるというような大きな変革、強気の政策を掲げるようであれば、海外では日本がいよいよ財政ファイナンスに踏み切ると判断されます。

 少なくとも日本株には好材料と判断され、買いが増えるかもしれません(財政ファイナンスには大きなリスクもありますが、ここではその議論は割愛します)。

 

与党は選挙に勝てるのか

 ところで、本当に与党は選挙に勝てるのでしょうか。
次の表で今までの傾向を見ていきましょう。 

1991年以降の実質賃金の推移(5人以上の事業所。賃金上昇率から物価上昇率を引いたもの)

実質賃金上昇率は四半期ベース前年同期比

 実質賃金は循環的に増加と減少を繰り返していることがわかります。しかし、世帯の経済状況が悪化している時期に選挙をすると、与党に不利に働くという相関関係が見られるのです。

 ちなみに、2017年6月、7月の実質賃金(確報)はそれぞれ前年同月比▲0.1%、▲1.1%とマイナスで推移しており、世帯の経済状況が好ましいとは言えません。

 昨今、Brexitやトランプ大統領誕生のように『まさか』が続いていることや、つい先日のドイツでの選挙でも与党が伸び悩んだ経緯を見ても、自民党はうかうかしていられる状況ではないはずです。

 日経平均株価が堅調である一方で、実質賃金がマイナスの今、与党の議席がどうなるか、ここから株価が上昇できるかは安心できないということを覚えておきましょう。